2022 Fiscal Year Annual Research Report
Conflict Analysis and Transformation Program for Divided Communities
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19H04356
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 衛 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (60432118)
奥本 京子 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 教授 (70321073)
松井 ケティ 清泉女子大学, 文学部, 教授 (80238930)
熊本 博之 明星大学, 人文学部, 教授 (80454007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分断されたコミュニティ / 水俣 / 原発災害 / 福島 / 大川 / 紛争解決学 / 修復的正義 / 地域交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
分断された地域コミュニティの対立・葛藤変容のための分析とプログラムの提示研究の一環として、水俣ー福島の交流実践研究と、水俣―石巻(大川)の交流実践研究を実施した。 水俣と福島は、共に環境災害・公害の被害地域であり、構造的暴力、トラウマタイズドコミュニティ、地域内への加害者と被害者の同居などの共通の特徴をもちながら、時間的経緯では、水俣病公害は原発事故の55年以上前に起こったという時期のずれがある。原発災害に被災した地域リーダーを水俣に招き、水俣が築き上げてきた修復的正義の文化を中心とする経験を分かち合うことで、双方にとって変容のきっかけになりえるかという実践研究を行った。水俣と福島で交流してきた人たちのメッセージを収集し、異なった特徴をもつ各地で展示し、メッセージが人々に与えるインパクトを評価する実践研究を行った(北関東(栃木)、福島(会津、福島市))など。津波被災の石巻の地域再生のプロセスにおける取組と葛藤に関する調査研究も行った。 また水俣の地域分断からの人間関係再構築への取り組みである「もやい直し」の歴史的プロセスを検証するために、当時の資料収集を行った。 また(繰り越しで2024年2月の実施となったが)、東日本大震災で津波被災で多くの犠牲者を出し、裁判や地域のコミュニティの葛藤を経験してきた大川小学校の関係者と水俣の交流実施研究も行った。大川小学校被災をめぐり制作された映像作品(映画)の上映会を水俣で行い、水俣の住民と大川小学校の被災者や支援者とで対話を行った。水俣・福島・石巻(大川)以外に分断された地域コミュニティとして研究対象にしている沖縄からも一名、水俣ー大川交流に参加していただき、沖縄の本格研究の準備をした。 また上記の研究の一部について、米国のマサチューセッツ州立大学ボストン校と国際共同研究研究を行った。成果について、書籍や論文等の形で公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の大川小学校と水俣の交流実践研究について、外部の事情により2023年度への繰り越しが生じたが、2023年度に実施することができ、2022年度に計画をしていたことをおおむね順調に終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、地域交流研究、分断された地域のフィールドワーク調査等を行う。 地域交流研究については、地域交流による修復的正義プログラムとして、修復的正義の文化を育んできた水俣と、分断を経験している他地域との交流の実践研究を継続するとともに、データの分析と、その成果をまとめ公表していく。特に2024年度は、沖縄・辺野古のフィールドワーク調査を行うほか、水俣と福島の交流研究を行う。 また水俣のもやい直しの歴史プロセスの分析と紛争解決学的意義づけについても、研究を継続し、公表していく。 水俣と福島の分断された地域コミュニティへの紛争解決の視点からの研究について、米国のマサチューセッツ州立大学ボストン校の研究者たちと国際共同研究をより発展させていく。
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[Book] 環境社会学事典2023
Author(s)
熊本博之、石原明子、他(環境社会学会編)
Total Pages
742
Publisher
丸善書店
ISBN
9784621307540
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