2023 Fiscal Year Annual Research Report
Conflict Analysis and Transformation Program for Divided Communities
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19H04356
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 博之 明星大学, 人文学部, 教授 (80454007)
奥本 京子 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 教授 (70321073)
松井 ケティ 清泉女子大学, 文学部, 教授 (80238930)
林 衛 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (60432118)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分断されたコミュニティ / 水俣 / 福島 / 沖縄 / 辺野古 / もやい直し / 修復的正義 / トラウマタイズドコミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
分断された地域コミュニティの対立・葛藤変容のための分析とプログラムの提示研究の一環として、水俣ー福島の交流実践研究の継続と、沖縄(特に辺野古)の地域分断の現状とその変容機会に関するフィールドワーク調査を主に実施した。また、水俣の「もやい直し」に関する資料分析を行った。トラウマタイズドコミュニティとしての分断からの修復ための理論として修復的正義に注目、また、構造的暴力のよる分断からの修復のためにアダム・カールの非対称紛争変容理論に注目し、それらへの取り組みを行ってきた地域としての水俣と、他の分断されたコミュニティとの交流でどのような変化が生まれるかという実践研究を行った。 水俣と福島の交流実践研究については、5月に大熊未来塾の木村紀夫氏らを水俣に招いて、水俣で修復的正義の思想を体現する患者・家族・元漁師である緒方正人氏との交流や、木村氏による講話を行った。また11月に、水俣で語り部と音楽で伝承をするやうちブラザースを福島に招聘し、福島で交流を行うという実践研究を行った。また国際共同研究で、米国のマサチューセッツ州立大学ボストン校と、人間の安全保障論・紛争解決論の視点からの福島の課題と実践に関する共同調査を行った。 水俣と沖縄については、辺野古・沖縄の研究者の熊本博之分担研究者の案内等で、研究班メンバーで辺野古を含む基地問題、沖縄の戦争史跡の調査、沖縄で地域づくりや平和構築に取り組む若い世代との交流調査を行った。また米軍・在日米軍基地について、米軍からの視点について情報を得るために、現役の米軍幹部候補生に話を聞く研究会を行った。 また水俣の地域分断からの人間関係再構築への取り組みである「もやい直し」についてこれまで資料収集やインタヴュー調査を行ってきたものを分析しはじめ、論文執筆に取り組みを開始した。 また、研究の成果について、書籍や論文等の形で公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づいておおむね順調に進展しているが、分断された各地域の紛争分析と対立・葛藤変容の道筋の提案に関して、共通した紛争変容・平和構築のフレームワークを用いた分析が不十分であるので、来年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究のまとめと仕上げに向けて、これまで研究対象としてきた水俣、福島、沖縄、石巻等のコミュニティを主に対象にして、その対立・葛藤変容の道筋を示し、具体的な資源整理と提言を行うことを目指す。 第一に、分断された上記の各地域の昨年までのフィールド調査等をもとに、対立・葛藤分析、対立・葛藤変容の道筋の提示、それにむけた資源分析を行う。特に「戦略的紛争変容モデル」「戦略的平和構築モデル(CAPPハンドブック)」等を用いて行い、日本型紛争変容モデルの提示を目指す。必要に応じて追加のフィールド調査やコミュニティ参加型調査を行う。 第二に、これまで行ってきた地域交流による紛争変容支援研究について、水俣・福島・沖縄・大川等地域の交流の実践の効果に関するインタヴュー等での調査を行う。必要に応じて追加の交流実践研究を行い、その理論的意義と効果の研究をまとめていく。特に修復的正義を用いた地域の対立・葛藤変容支援の一つの形として、修復的正義の文化をもつ水俣と他地域の地域交流プログラムを提示し、その意義を検証していく。修復的正義の日本型モデル、構造的暴力下モデル、トラウマタイズドコミュニティ・集合的トラウマへのモデルの提示を行って行く。 第三に、水俣については、もやい直しのプロセスに関する歴史研究を継続するとともに、紛争解決学的意義を検証し、特に日本型・環境災害型事例での修復的正義の一事例としてそのプロセスを分析する。コミュニティに加害者と被害者が同居し、トラウマタイズドコミュニティであり、構造的暴力の被害地域における修復的正義の一事例としての意義を考察する。 研究の成果は、論文、書籍、シンポジウム等の形で公表していく。
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