2020 Fiscal Year Annual Research Report
スコットランド常識学派からプラグマティズムへ―英米思想における常識哲学の研究
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20H01181
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大谷 弘 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30584825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 徹也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00710394)
一ノ瀬 正樹 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20232407)
片山 文雄 東北工業大学, 総合教育センター, 教授 (40364400)
石川 敬史 帝京大学, 文学部, 教授 (40374178)
乘立 雄輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50289328)
青木 裕子 中央大学, 法学部, 教授 (60635671)
佐藤 空 東洋大学, 経済学部, 准教授 (60749307)
野村 智清 秀明大学, 学校教師学部, 講師 (90758939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 常識哲学 / プラグマティズム / コモン・センス / ウィトゲンシュタイン / トマス・リード / G.E.ムーア / 想像力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大もあり、対面での学会参加や研究会開催が著しく制限された。従って、研究活動は主に研究の参加者が各自で基礎的な文献研究を遂行するという形になった。文献研究としてはとりわけウィトゲンシュタインらの20世紀ケンブリッジにおける常識論の射程を検討することができた。それによると、ウィトゲンシュタインはG.E.ムーアの常識論に対する反応という形で一種の「像」として常識を捉えるという常識論を考えている、ということが理解された。この像としての常識という観念は、従来、認識論的か懐疑論批判の文脈で理解されることの多かったウィトゲンシュタインの『確実性の問題』における議論を、道徳論のような認識論とは異なる分野へ応用する可能性を開くものだと考えられる。また、ウィトゲンシュタインの常識論をその宗教論の文脈において検討することも行い、信仰を持つ人と持たない人という、いわば「常識」を共有しない人同士の間でどのような対話が可能なのかということを検討した。それによると、そこでは一種の「呼びかけ」に基づく「説得」が可能であり、その内実をウィトゲンシュタインのアスペクト論に依拠することで明らかにすることができるのではないか、という見込みが得られた。更に、常識概念の哲学検討を通して、「常識(common sense)」という概念と密接に関わる「想像力」や「感情」といった概念との結びつきを検討する必要があるということも理解された。とりわけ、トマス・リードにおいて「判断」として把握されている「常識」が想像力や感情の働きとどのように関わるのかということを解きほぐして理解することが課題であるということが明らかになった。上記の通り、新型コロナウィルスの感染拡大により、対面での研究活は制限されたが、後期には関連する成果をオンラインでの研究会を開催し共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大もあり、当初の予定通りに研究成果を共有することが難しかった。ただ、各自の基礎的な研究は一定の成果をあげることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインでの研究会を積極的に開催するなどして、研究成果の共有を進める。また、関連する見識を持つ研究者に研究会での講師を依頼し、知見を得る。
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