2021 Fiscal Year Annual Research Report
スコットランド常識学派からプラグマティズムへ―英米思想における常識哲学の研究
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20H01181
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大谷 弘 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30584825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 徹也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00710394)
一ノ瀬 正樹 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20232407)
片山 文雄 東北工業大学, 総合教育センター, 教授 (40364400)
石川 敬史 帝京大学, 文学部, 教授 (40374178)
乘立 雄輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50289328)
青木 裕子 中央大学, 法学部, 教授 (60635671)
佐藤 空 東洋大学, 経済学部, 准教授 (60749307)
野村 智清 秀明大学, 学校教師学部, 講師 (90758939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 常識哲学 / プラグマティズム / コモン・センス / ウィトゲンシュタイン / トマス・リード / G.E.ムーア / 創造性 / 常識実在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は本研究プロジェクトの参加者が、それぞれの基礎的研究を継続し、学会発表や論文の公表を行うとともに、オンライン形式で「常識と啓蒙研究会」を開催し、その研究成果を共有し、議論することができた。また、研究会には関連分野の研究者を講師として招くことで、研究をより多角的に深めることもできた。具体的には、(1)ウィトゲンシュタイン哲学における「常識」と倫理の関係に関する分析、特に『論理哲学論考』を中心とした前期ウィトゲンシュタイン哲学におけるその展開の検討、(2)偶然性と常識の関係に関する哲学的検討、(3)アダム・スミス、エドマンド・バーク、ジョン・デューイ、モンテスキューなど、本研究プロジェクトが主題としているスコットランド常識学派からプラグマティズムに到る哲学史、思想史と近接する重要な哲学者、思想家の見解の検討、(4)ウィトゲンシュタイン哲学とパフォーマンス心理学の関係の検討を通した常識と創造性の関係についての研究、などを行うことができた。それにより、(i)常識哲学やプラグマティズムとの関係が深いウィトゲンシュタインの後期哲学の前提としての前期哲学に対する理解が深まり、また(ii)近現代の英語圏の常識哲学の位置づけを純粋な哲学的テキストの分析だけでなく、政治経済思想、歴史思想、などの複数の視点から分析することの必要性が改めて確認された。更には(iii)後期ウィトゲンシュタイン哲学のような常識を重視する哲学が創造性というものを否定するものではなく、むしろ、創造性の基盤として「常識」を構成する実践なども位置付けることができるということも明らかになった。その他、研究上のポイントとして「常識的実在論(common sense realism)」という観念を哲学史、思想史的研究を背景として、その現代的意義を明らかにするという点を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究プロジェクト参加者各自の基礎的研究が比較的順調に進んだ。また、それを研究会において共有することができたため、それぞれが関連の知見を深めつつ、多角的な角度から自身の研究を再検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きオンライン形式で「常識と啓蒙研究会」を開催する。また必要に応じて関連分野の研究者を講師として招き、知見を深める。更に最終的な研究成果をまとめるために、本研究プロジェクトの参加者各自により具体的で詳細な研究課題を設定し、研究を推進させる。
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Research Products
(8 results)