2021 Fiscal Year Annual Research Report
地域におけるオペラ上演・劇場運営についての日独英の比較研究
Project/Area Number |
20H01215
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江藤 光紀 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10348451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城多 努 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30423966)
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
辻 英史 法政大学, 人間環境学部, 教授 (80422369)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公共ホール / 劇場 / 地域社会 / 公共圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究会を原則毎月開き、研究代表者、研究分担者に加え、日本のオペラ上演の現状に詳しい関根礼子氏を毎回ゲストにお招きして、各担当者の研究関心、研究の進展具合、情報共有、ディスカッションなどを行った。 国内については地方でも少しずつオペラの上演が再開されるようになってきたので、研究会メンバーで分担して公演を視察し、情報の蓄積・議論に努めた。ただし当該年度においてはまだ海外出張は難しく、国際比較についてはネットの情報だけが頼りで、思うようには進捗しなかった。 その一方で私たちが考えた独自コンセプトである劇場圏(劇場を取り巻く公共圏)については、概念が明確化されてきた。劇場という場にコンテンツを制作する機能が集約されているドイツ型の劇場に対して、貸館が中心の日本の公共ホールにおいては、(特に地方において)オペラ上演が可能になる基礎条件として、その土地に公演を実現できるだけの力のある歌手やオーケストラがある程度存在する必要がある。首都圏や関西ではそれはプロのカンパニーやオーケストラとなるが、地方においてはしばしばそれをセミプロやアマチュアが担っているのが、日本のオペラ上演の特徴である。 コンテンツを制作できる劇場を社会が多額のコスト(=税金)を払って維持するドイツに対し、日本では主に民間が多様な上演形態で担っているとまとめることができよう。なぜそのような違いがあるのかについては、両者の市民社会のありよう、成り立ちの経緯などの要因が考えられ、現在、様々な角度から検討を重ねているところである。またこの議論の中にどうイギリスのオペラ制作・上演を組み入れていくかも今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の欄で述べた通り、もっぱら理論面で事例研究にまで進めておらず、それは海外調査に至っていないことが原因である。本年度はこれらにいよいよ手を付けていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
国内団体の諸活動や助成制度の状況、コロナによる制約やその影響などについてはある程度把握が済んでおり、月例の研究会を開催する中で、今後も引き続き把握に努める。 本年度については 1)ドイツ・イギリスの現地調査 2)調査内容の分析 3)劇場圏概念による国際比較 4)劇場圏を通じたを、それを構成する諸アクター(劇場、行政、地域社会、芸術市場)がどのように生かすことができるか、についての提言 といった課題に取り組んでいく。
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Research Products
(5 results)