2021 Fiscal Year Annual Research Report
Does Freedom of Expression Conflicts with Ethics? Art, Society and Revisionism
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20H01220
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
加須屋 明子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (10231721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 晃平 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 非常勤講師 (50792131)
井出 明 金沢大学, GS教育系, 准教授 (80341585)
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 芸術と社会 / 表現の自由 / ホロコースト / 戦後現代美術 / 観光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の前半は、ポーランドのヤギェロン大学教授らと連絡を取りながら、資料収集や整理につとめ、またCOVID-19によって延期された調査も並行して進め、ロマン・インガルデンの人間論より人間の自由と責任について考察を行った。秋に兵庫県たつの市で実施の「たつのアートシーン2021」に合わせて「山」展を開催し、自然への畏怖と憧れという感覚がどのように表現され、また国際的な共通性を持つのかを探った。ポーランドより美術評論家のアンダ・ロッテンベルク氏と、ヤギェロン大学教授のレシェク・ソスノフスキ氏を迎えてオンラインで国際ワークショップを行い、広く表現の自由と規制の問題について、理論と実践の両面より総合的に考察を深めた。またポーランドにおける戦後から東欧革命を経て現在に至る美術状況について、5月には単著『現代美術の場としてのポーランド』を出版し、芸術家たちが厳しい規制を受ける中でどのように困難に立ち向かい、創造活動を継続してきたかを示した。研究分担者の井出はダークツーリズムの立場から、ポーランドのクラクフ、横浜の黄金町、京都の崇仁地区などにおける、アートによる町おこしの事例を研究し、崇仁地区の柳原銀行記念資料館とも連携を深めた。山下は引き続き戦後日本の芸術表現と規制について、とりわけ大衆や「世間」という日本文化的な側面に留意しつつ資料収集と調査を行った。 加藤はUSホロコースト記念博物館アソシエイトとして、ゲットーで撮影されたドイツ側写真の研究、イェール大学マクミラン国際地域研究所にて、証言と文学におけるホロコーストの非視覚的記憶についての研究を実施し、ポーランドにおけるホロコースト研究についても、現地の研究者と連携しながら動向を探り、知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナにより、移動が制限されるなどの理由で若干進め方の見直しが必要であったが、徐々に制限も緩和され、またオンライン技術の急速な普及によって、むしろ国際的連携がとりやすくなり、国際比較もやりやすくなった。加えて、昨今の状況の変化によって、検閲や表現の自由の制限はより身近で深刻さを増しており、注目もより集まるようになっていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初計画に沿いつつ、理論と実践の両面より考察を深め、更に国際的な研究体制も築いてゆきたい。共同研究者との連携や、研究協力者との共同作業も推進し、重要な問題に共に取り組んで成果に繋げる。
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Research Products
(11 results)