2020 Fiscal Year Annual Research Report
戦後オーストリアにおける冷戦と文学の関係についての研究
Project/Area Number |
20H01247
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
前田 佳一 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70734911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日名 淳裕 成城大学, 法学部, 准教授 (40757283)
山本 潤 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50613098)
杉山 有紀子 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 講師 (70795450)
金 志成 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (30822952)
桂 元嗣 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40613401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オーストリア文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1(冷戦下におけるオーストリアの「アメリカ化」と戦前からの保守的イデオロギーがいかなる協働関係にあったのか、2)政治状況の変化に伴 い「オーストリア文学」観はどのように変遷したのか、3)オーストリア特有の保守的傾向を備えた前衛文学はどのように発展したのか、4)女 性作家の地位確立はどのようになされたのか、5)市民の社会不安は文学作品においてどのように表象されているのか、という計五つの個別テ ーマに取り組んだ。今年度はコロナウイルスをめぐる状況に鑑み国外での資料収集や海外研究者との連携は行わず、国内での資料分析に集中した。 Zoomにて一般公開のコロキウムを行い、メンバー全員がそこで研究発表を行った。そこではヨーゼフ・ヴァインヘーバーの第二次世界大戦中の詩集『ここに言葉がある』における詩学、戦後のシュテファン・ツヴァイク、特に『昨日の世界』の受容、戦後のイルゼ・アイヒンガー、ヘルベルト・アイゼンライヒ、ハイミート・フォン・ドーデラーらによる「オーストリア的なるもの」の象徴化と神話化、オーストリア文学史叙述、特にウィーン大学独文科教授ヨーゼフ・ナードラーの文学史における中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』受容、ミロ・ドールの自伝的作品(『ライコウ・サガ』等)における語りとオーストリア文学と「中欧」論、トーマス・ベルンハルトの『ウンゲナハ』におけるアメリカと革命のテーマ等についての議論が活発になされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍という状況ゆえ当初予定していたオーストリアでの資料調査は行えなかったが、現地古書店より当時の出版物を多く収集することができた。また、年に二度の一般公開のコロキウムに加え、Zoomにて2ヶ月に1度研究集会を行い研究メンバーを含む国内の複数の研究者たちと連携を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き、1)冷戦下におけるオーストリアの「アメリカ化」と戦前からの保守的イデオロギーがいかなる協働関係にあったのか、2)政治状況の変化に伴 い「オーストリア文学」観はどのように変遷したのか、3)オーストリア特有の保守的傾向を備えた前衛文学はどのように発展したのか、4)女性 作家の地位確立はどのようになされたのか、5)市民の社会不安は文学作品においてどのように表象されているのか、という計五つの個別テ ー マに取り組んでゆく。2021年度もコロナウイルスをめぐる状況に鑑み国外での資料収集や海外研究者との連携は行わず、国内での資料分析・国内研究者 間の連携に集中する予定である。具体的にはプロジェクトメンバー間での研究会を通じて情報・意見交換を行うほか、一般公開の研究発信の機 会として2度のコロキウムをオンライン上で行う。
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