2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01281
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 正利 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80216308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 朗子 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30758602)
阿部 真理子 中央大学, 理工学部, 教授 (90381425)
村尾 玲美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80454122)
古泉 隆 名古屋大学, 教養教育院, 講師 (60549541)
阿部 大輔 中部大学, 人間力創成総合教育センター, 語学系嘱託講師 (00826844)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 縦断的コーパス / 処理可能性理論 / IPSyn / 学習者コーパス / スピーキング / ライティング / 第二言語処理能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本調査2年目のデータ収集及びデータ整形を進めるとともに、主に三つの分析を行った。 データ収集は、昨年同様、年二回の調査とTOEFL Primary Speaking Testを行った。語彙サイズテストは第1回目に、ライティングデータの収集は第2回目に合わせて行った。 分析は、まず、分析ツールとして第一言語としての英語の統語発達研究で使用実績のあるIPSynを使って第二言語習得の発達を測定できるかどうかを検証した。第1回予備調査で収集した中学1、2、3年生のデータを横断的に分析した結果、学年間で有意なスコアの伸びを観察することができた。また、名詞句、動詞句、疑問・否定、構文の4つの下位区分のうち、動詞句がスコアの伸びに最も大きく寄与し、名詞句は有意な影響がないという結果を得た。(LCR2022で発表) 次に、話し言葉と書き言葉とで発達に違いが見られるかどうかを、第2回予備調査で収集した話し言葉データと書き言葉データを対象にIPSynで分析し比較した。その結果、スコアは全体的に話し言葉の方が高かったが、発達の傾向に違いは見られなかった。(JSLS2022で発表) 統語発達の分析に使用したIPSynは、もともと第一言語としての英語の統語発達研究用に開発された。それによって第二言語としての英語の発達も観察できることは確認できたが、第二言語習得研究分野独自の処理可能性理論(PT)に基づいて第二言語としての英語の統語発達を観察するために、PTで言語発達のステージ判定に使われている言語特徴を基にIPSynのプログラムの改良を試みた。この改良版IPSynプログラムを使い第1回本調査で収集した発話データを対象に分析した結果、スピーキング能力の発達を説明するモデルとして使用できる可能性があることが確認できた。(JSLS2023で発表予定)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年2回のデータ収集及びTOEFL Primary Speaking Testは無事完了できた。整形済みデータの分析も3種類実施でき、それぞれ、国際学会で発表(予定)できた。特に、処理可能性理論に基づいた言語特徴を使った独自の定義ファイルの開発は他には類を見ず、研究分野に対する大きな貢献といえる。そうした大きな進展があった一方で、データの整形に時間がかかり、縦断的な分析が実施できていない点はマイナス点である。総合的に見て、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、来年度、本調査3年目のデータ収集を行い、データの整形作業をすすめる。データの整形作業に時間がかかっている点は、より多くの大学院生に協力を求めることで解決したい。 分析面では、改良版IPSynの観察項目を増やす等の手立を使い分析精度を上げ、研究の精緻化を図っていきたい。それとともに、縦断的な分析を行うことと、独自の平均統語距離という観点から、統語単位の複雑さと統語発達の関係を分析していきたい。
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