2022 Fiscal Year Annual Research Report
前2千年紀ハブール川流域の歴史と文化:テル・タバン文書(前13~11世紀)の研究
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20H01321
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40553293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30323223)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 楔形文字 / アッカド語 / シュメール語 / アッシリア / バビロニア / メソポタミア / 西アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定していた海外での研究活動を再開した。2022年6月にパリで青銅器時代の女性と外交に関する国際会議が開催され、招待されたが、学内の渡航制限が厳しかったため、オンライン参加した。この会議の発表では、テル・タバン文書を含む紀元前2千年紀後半のアッシリア文書に言及される王女の事例を網羅的に収集・検討し、特にアッシリア国内外での政略結婚における王女の役割について包括的に論じた。2022年11月にはエルサレムで開催された紀元前1千年紀のシュメール語伝統に関する国際会議に招待され、ヘレニズム時代ウルク市の祈祷文について発表した。こういった口頭発表のほか、2021年度にアメリカを代表する楔形文字学の学術誌Journal of Cuneiform Studies誌へ投稿した論文が2022年6月に出版された。同じく2021年度に提出したThe Oxford History of the Ancient Near Eastにおける紀元前11ー9世紀アッシリアのチャプターを校正して仕上げた。また「マリの国」の領主アッシュル・ケタ・レシル2世の治世に行われた国土防衛政策、そして、その歴史的背景となったアッシリア王ティグラトピレセル1世治世におけるアラム人の侵略について包括的に研究し、ハイデルベルク大学Maul教授の献呈論文集に寄稿した。ほか、Beatrice Baragli氏(当時ヘブライ大学、現在ヴュルツブルグ大学)と共同でシュメール語・アッカド語バイリンガル文書に関する論考を執筆し、2023年3月にイタリアの査読付き学術誌KASKAL Rivista di storia, ambienti e culture del Vicino Oriente Anticoに寄稿し、採択・出版された。2023年3月にはイラク・クルド自治区においてフィールド調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初はまだパンデミックによる渡航制限が続いていたが、後半には解消され、国際会議への現地参加、海外調査も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで制限されていた海外における調査と研究に重点を置く。特にドイツに渡航し、ミュンヘン大学において資料調査と共同研究を実施しする。
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