2022 Fiscal Year Annual Research Report
西チベットにおける古チベット語碑文の総合的研究 ~岩石碑文の歴史的意義の再検討~
Project/Area Number |
20H01327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 愛 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90723693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 真帆 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90514323)
岩尾 一史 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 西チベット / 古チベット語碑文 / 石刻資料 / ラダック / バルティスタン / 岩石碑文 / 金石文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、詳細と現状が十分に知られていない西チベットの石刻碑文について現地調査を行い、そこから得られた知見を各種文献と対照させることによって、西チベット碑文の内容をチベット史および中央ユーラシア史に位置付けることを目的とする。 研究三年度目となる2022年度は、5月に研究会議を開催し年次計画と研究分担の確認、代表者による研究中間報告を行った。7月には、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延以降、ようやく海外渡航が可能となったため、国際学会で古代チベット研究のパネルを開催し、研究代表者、分担者、協力者の全員が研究発表を行なった(第16回国際チベット学会、7月、於:Charles University チェコ)。 また8月には、研究代表者と分担者がバルティスタン(パキスタン東部)のチベット語石刻碑文に関する現地調査を実施した。調査で得られた知見については、共催研究会(前近代中央ユーラシアの南北交通システムの総合的研究・ヒマラヤ西部におけるチベット系ムスリムの総合的研究・西チベットにおける古チベット語岩石碑文の総合的研究、於:東京外国語大学本郷サテライト、3月)において代表者と分担者が共同発表を行なった。 本年度に予定していた海外からの研究協力者の招聘は、渡航制限によるスケジュール調整のため2023年5月に繰り越して実施した。招聘期間中にはラダック西部(インド)の岩石碑文に関する共同研究を進め、開催した国際ワークショップには、中央アジア史、アジア美術史、チベット史等に関わる多数の研究者の参加を得た(5月)。そのほか、アウトリーチ活動として、代表者と協力者が横浜日仏学院で開催された「Recontre sur le patrimoine et les arts du Ladakh」にて、西チベットの石刻資料に関する一般向け講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年7月頃に海外渡航が可能となり、海外からの来日も徐々に緩和されたが、スケジュール調整が間に合わず、研究協力者の招聘を2023年に繰り越さざるを得なかった。そのほかは概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度夏頃には、本研究プロジェクト開始以降、ようやく海外渡航が可能となった。これまで実現できなかった西チベット石刻碑文の現地調査を行うとともに、中央アジア出土チベット語木簡についてもデータ整理と実見調査を進める。また、本研究によって得られた成果を国内外の学術雑誌等に発表するほか、共催シンポジウムなどの開催を通じて近隣研究分野との連携をはかる。
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