2023 Fiscal Year Annual Research Report
西チベットにおける古チベット語碑文の総合的研究 ~岩石碑文の歴史的意義の再検討~
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20H01327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 愛 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90723693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 真帆 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90514323)
岩尾 一史 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 西チベット / 古チベット語碑文 / 石刻資料 / ラダック / バルティスタン / キナウル / 岩石碑文 / 金石文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、詳細と現状が十分に知られていない西チベットの石刻碑文について現地調査を行い、そこから得られた知見を各種文献と対照させることによって、西チベット碑文の内容をチベット史および中央ユーラシア史に位置付けることを目的とする。 研究四年度目となる2023年度は、前年度より繰り越した海外の研究協力者の招聘と国際ワークショップの開催を5月に実施したため、予定より年次計画の遂行開始が若干遅れた。しかし、9月には龍谷大学・国際社会文化研究所共同研究との共催で国際シンポジウム「青海・ラダックへのチベットの進出とその影響」を開催し、研究協力者によって本研究課題の成果の一部がチベット研究者および近隣領域の研究者に向けて発信された。また10月には、西チベット石刻碑文に対する現地調査を研究代表者が実施した。具体的にはキナウル地域(インド・ヒマーチャルプラデーシュ州)に現存するチベット語岩石碑文と、仏像の台座に記されるチベット銘文についての実見調査を行なった。石刻碑文の内容は、西チベットにあったグゲ・プラン王家との関わりが知られるものであり、収集した録文の内容検証を進めている。さらに、昨年度に行ったバルティスタン(パキスタン東部)でのチベット語石刻碑文調査の成果についても論文発表の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題開始時より影響を受けていた新型コロナウイルス感染症による海外渡航制限が解除され、研究計画の遅れを取り戻すことができた。また、現地調査と並行して、国際シンポジウムを開催するなどして、研究成果を発信することも実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
西チベット石刻碑文の現地調査に並行して中央アジア出土チベット語木簡についてもデータ整理と実見調査を進める。また研究最終年度に向けて、研究成果の取りまとめと発表にも注力する。海外の研究協力者とも、共著論文の出版に向けてオンラインでの共同研究を継続する。
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