2022 Fiscal Year Annual Research Report
From chariot to riding: review a history of livestock and humanity in ancient China
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20H01345
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (00612433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨考古学 / 馬車文化 / 騎馬文化 / 古代DNA / 同位体化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、中国の古来より社会・経済システムの中核的役割を担っていたウマと、それを利用する社会階層の視点に立ち、馬車から騎馬への転換過程の背景を探る事を目的としている。西周時代の西北辺疆拠点のひとつである寧夏回族自治区固原市彭陽県に位置する姚河原遺跡の大墓群区と東部墓葬区より検出された車馬坑と馬坑3基より出土したウマの調査分析を進めた。出土した馬歯と馬骨による同位体分析からは、当時の辺疆拠点における馬匹生産体制について具体像を提示できるデータを取得できた。特に、大墓群区より検出された車馬坑2基は、年代差があるものの、雑穀類の摂取率が高い傾向が認められた。こうした現象は、いまのところ、後世の同地域における遊牧系墓出土馬には認められないことから、西周王朝の最前線にあった姚河原遺跡と中心地の周原遺跡群との関係を考えるうえでも興味深い。小型墓が主体の東部墓葬区においても、犠牲馬の食性には雑穀類の摂取が認められることから、今後、植物考古学的研究成果と合わせて当時の馬匹生産技術について考える必要がある。また、両地域におけるウマの往来の可能性も含めて考えるうえでも、分析中のストロンチウム同位体の結果が待たれる。古代DNA分析については、中国社会科学院考古研究所と連携して解析する組織体制を構築させ、順次分析を進めている。成果の一部については、中国古代動植物資源利用的考古学研究学術研討会で報告するほか、『牧の景観考古学』(六一書房)や『馬・馬車・騎馬の考古学』(臨川書店)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による実地調査の制限が解除され、姚河原遺跡の調査が進展し、同位体分析や古代DNA分析のデータが出始めたことで、より具体像が提示できるようになった。また、関連する出土文字資料の銘文や古典籍などの収集も進み、考古学、歴史学および考古科学を組み合わせて検証できる段階になったことで、重層的に当時の馬匹生産体制の実態が提示できるようになったことは大きな進展である。中国社会科学院考古研究所との研究協力体制のもコロナ禍の制限が無くなったことで正常に機能していることから、研究計画は着実に成果を出せている。積極的なアウトリーチ活動についても国内外で実施できていることから、順調に計画研究は遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地研究機関と引き続き連絡を取り合いながら分析を進めつつ、現地の情勢を見極めながら実地調査を加速させる。特に古代DNA分析については、中国社会科学院考古研究所との連携が機能し始めているので、連絡を密に取り合いながら分析を進めていく。同位体比測定については、金沢大学と筑波大学で調整しながら円滑にデータを出す仕組みを構築していきたいと考えている。
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