2020 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光X線分析と鉱物組成分析による大和の古代寺院・宮都出土瓦の生産・供給体制の研究
Project/Area Number |
20H01362
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
清野 孝之 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 副部長 (00290932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道上 祥武 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (10827330)
降幡 順子 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部保存科学室, 室長 (60372182)
森先 一貴 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (90549700)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 古代瓦 / 胎土分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大和の古代寺院・宮都出土瓦と同笵または深い関わりが推定される瓦について、理化学的分析(蛍光X線分析、鉱物組成分析)、考古学的調査を合わせて行い、その生産と供給の実態を明らかにしようとするものである。 研究期間の1年目に当たる2020年度は、①大和の古代寺院・宮都出土瓦と同笵の軒瓦の探索、②川原寺創建軒丸瓦601Cと同笵の福岡県太宰府市観世音寺出土瓦、香川県善通寺市仲村廃寺採集瓦の調査、③藤原宮所用軒平瓦(6647E)と同笵の香川県さぬき市願興寺採集軒平瓦等の調査をおこなった。 ①については、主に奈良文化財研究所所蔵の瓦、記録類、書籍等の確認・検討をおこなった。その結果、藤原宮所用軒瓦の同笵瓦で、藤原京以外から出土しているもの、および川原寺創建期軒瓦の同笵瓦で、大和以外から出土しているものを当面、重点的に調査対象とすることとした。この方針に基づき②、③の調査をおこなうこととした。 ②については、観世音寺、仲村廃寺の資料のいずれも川原寺創建軒丸瓦601Cと同笵であること、製作技法分析、肉眼による胎土観察においても類似性が高いことを確認した。 ③については、藤原宮所用軒平瓦6647Eと同笵であること、製作技法分析、肉眼による胎土観察においても類似性が高いことを確認した。また、それぞれ胎土分析用の試料採取を実施した。胎土分析とその成果の検討は令和3年度におこない、調査成果の一部を令和3年度以降に報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症対策の影響により、都道府県をまたぐ移動が制限されている期間があったことから、外部調査が予定通りに実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症対策の影響で、都道府県をまたぐ調査を十分におこなえない点については、今後も感染状況をふまえながら可能な範囲でおこなうしかない状況である。当面は外部機関との事前調整を進めるとともに、内部での検討や、県内で行うことが可能な調査を優先的におこなうなどの工夫をするなどして調査・研究を進める。
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