2023 Fiscal Year Annual Research Report
機動的な小型船舶による湖面フラックス測定法の確立とフラックスの空間分布特性の解明
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20H01384
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉田 倫明 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80235887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 文義 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (40467725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 湖沼 / 船舶 / フラックス / 移動観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は,5年間の研究期間を通して,陸面に比べて研究が行われていない湖沼の表面フラックスの空間分布特性とその分布の要因を明らかにすることを目的とする.そのために,霞ヶ浦を対象に以下を進める計画とした. (1) 船舶を利用した水面上の顕熱・潜熱フラックスの直接測定の方法を確立し,(2) 異なる季節,気象条件下でフラックス,気象要素,表面水温を船舶,ドローンによる移動観測で同時に測定する.得られたデータを(3)バリオグラム等の地球統計学的手法により解析し,空間分布特性を解明すると同時に内部境界層の発達状況とフラックス分布の関係を調べていく.(4) 気象要素や湖盆形状,波高データなどと比較することで空間分布の要因を解明する. このうち,2023年度は, 2022年度に続いて(1)を進めた.具体的には,2023年夏に国立環境研究所の小型研究船に測定装置を搭載し,霞ヶ浦湖心観測所周辺で行った観測データを解析し,渦相関法,バルク法によりフラックスを算出した.同時に湖心観測所で行われているフラックス等の観測データを取得し,その解析を進めた.また,ドローンでの観測については,陸域から湖面に吹く風により発達する内部境界層の様子を確認するために,湖岸を基地として,風向に沿って湖面上で行う観測を実施した. 前年度に行った気象衛星Himawariの赤外画像から得られる湖面温度と現地で測定された温度の比較からHimawariデータがどの程度湖面温度測定に有用かが明らかになり,この結果が論文に掲載された.また,得られた方法を他の資料や湖心観測所のデータと併用して解析することで霞ヶ浦の水収支をこれまでより精度良く明らかにできることがわかったので,過去の5年分のデータを解析し,論文としてまとめて投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では,夏季の4日間の連続観測を3回実施する計画であったが,国立環境研究所の小型研究船のエンジン故障により,7月から8月中旬まで修理のために観測ができなかった.次年度が最終年度であるため,繰越で観測を次年度に回すことは解析やとりまとめを考えると現実的ではないので,8月末の4日間の観測1回で,全体計画の観測フェーズを完了とした.概要の(1)と(2)はある程度まとめられる目処がついたものの,(3)のドローンと観測船同期観測による内部境界層の調査とその解析は断念することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータを解析し,概要の(3), (4)を進める予定である.
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