2020 Fiscal Year Annual Research Report
Hospitality or Property?: Habsburg Spain in the Americas and Asia
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20H01452
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80337873)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歓待 / 所有権 / 正義 / ハプスブルク / グローバリゼーション / 他者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最盛期のハプスブルク朝スペイン帝国(1519~98年)で展開された世界秩序構想の全容と思想史的意義を明らかにするものである。焦点は、「他者の歓待(hospitality)」と「自らの所有権(property)」の関係性に置く。具体的な目的は、第一に、サラマンカ学派と周辺の思想家における他者論の異同を考察すること、 第二に、それを古代から現代に至る西洋の歓待-所有権論の系譜に位置づけることにより、ハプルブルク朝スペイン帝国思想の独自性と意義を確定すること、にある。 研究が始動する2020年度は、ハプスブルクスペインの対アメリカ、アジア構想をめぐる資料調査・解釈、日本語共著執筆期間である。交付申請書記載の当初計画では、アメリカ資料は、インディアス古文書館、サン・エステバン古文書館、バチカン古文書館等、アジア資料は、マカオのイエズス会修道院が所蔵する一次資料を調査する予定であった。また、その成果の一部をマックス・プランク研究所(フランクフルト)で公にする予定であった。 けれども、新型コロナウィルス感染症流行のために勤務先から海外渡航許可が下りず、代替の形の資料収集、学術交流、成果発表を行った。資料収集については、国内利用可能図書館での資料調査と国内外の所蔵館からの相互貸借制度の活用により、調査を進めた。学術交流については、対面に代えてメールやZoomによる協議の場をもった。成果発表についても、対面に代えてオンライン国際会議での報告を行うとともに、当初予定していた学術雑誌『法哲学年報』所収論文を公刊し、一般市民も参加できるオンライン公開セミナーを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために海外渡航を伴う資料調査、学術交流、成果発表は行えなかったものの、すべてオンラインなどの代替方法で当初予定していた作業を終えることができた。あわせて、当初予定では今年度の成果発表に含まれていなかった公開セミナーの形で、社会に研究成果の一端を還元することができた。 以上の理由により、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、交付申請書の当初予定に従って研究を遂行する。2年目は、調査資料に基づき、本研究の2つの目的に沿って、歓待と所有権の系譜を考察する予定である。あわせて、コロナ禍の動向も見ながら、今年度行うことができなかった海外渡航を伴う調査を行いたい。
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