2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hospitality or Property?: Habsburg Spain in the Americas and Asia
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20H01452
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (80337873)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 羽衣伝説 / 異人歓待 / 白鳥伝説 / 柳田国男 / 折口信夫 / 稀人 / 異界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最盛期のハプスブルク朝スペイン帝国(1519~98年)で展開された世界秩序構想の全容と思想史的意義を明らかにするものである。焦点は、「他者の歓待(hospitality)」と「自らの所有権(property)」の関係性に置く。具体的な目的は、第一に、サラマンカ学派と周辺の思想家における他者論の異同を考察すること、 第二に、それを古代から現代に至る西洋の歓待-所有権論の系譜に位置づけることにより、ハプルブルク朝スペイン帝国思想の独自性と意義を確定すること、にある。 3年目の2022年度は、歓待-所有権論がアジア進出をめぐる議論の中でどのように展開されたかを検討した。6月に予定されていた国際会議は新型コロナウィルス感染症流行のためにさらに1年延期されたが、勤務先の海外渡航制限は一部解除されたため、ようやく国外調査・交流を行うことができた。具体的には、国立グラナダ大学客員研究員として、アンダルシア(グラナダ、セビリャ、コルドバ、アルへシラス)を中心に、南フランス、スペイン(バスク、カタルーニャ、バレンシア)、イギリス(ロンドン)において、資料・史跡調査と学術交流を行った。 研究成果は、スペイン帝国の世界進出をめぐる英語の共著と、本邦における異人歓待論を羽衣伝説を中心に論じた日本語の論壇誌論文を公刊した。また、そうした学術的な貢献のほか、高校出張講義の形で若い世代にわかりやすく本課題の重要性を伝える教育的な貢献も行った。さらに、英語のホームページを開設し、成果を広く国際社会に発信する手段を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際会議の開催はコロナ禍のために1年延期されたものの、当初計画では最終年度に予定されていた英語共著が公刊されたこと、また日本語の雑誌論文公刊、教育現場への還元、国内外に向けての成果発信手段を整えたことから、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍のために延期された国際会議で英語報告を行い、研究者と交流を行うほか、4年目の計画を遂行する。具体的には、スペイン帝国のアメリカ、アジア進出の拠点となったカリフォルニアに着目し、地政学的重要性を検討する。
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Research Products
(6 results)