2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Corporate Systems: An Empirical Study and Meta-Analysis of China and Eastern Europe
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20H01489
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岩崎 一郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70323904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 欣欣 富山大学, 学術研究部社会科学系, 准教授 (80634253)
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 比較企業システム論 / 中国 / 東欧 / ミクロ実証分析 / メタ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは,中国と東欧の企業システムを,ミクロ実証経済学的に比較・分析することを通じて,これらの国々の企業制度や経営活動の実態把握を企図する。研究チームは,かかる研究作業を通じて,共産党一党独裁制を維持しつつ社会主義市場経済の確立を標榜してきた中国と,民主主義をまがりなりにも政治制度の基礎に置きつつ資本主義市場経済の導入を推し進めてきた東欧諸国との間のいわゆる「移行戦略」の顕著な差が,両者の企業システムにもたらした相違性の詳細な解明を行うことで,かつてない中国・東欧比較経済論の創出を目指す。この研究目標を達成するために,中国と東欧諸国を網羅する企業レベルの大規模データベースを構築し,これを駆使したミクロ実証分析を行う。また,このような方法では接近し難い研究課題の検討や他研究との照合を目的とした既存研究のメタ分析も試み,可能な限り多角的に中国・東欧の企業システムを比較する。 以上の研究目標を達成するために,令和2年度は,中国及び東欧の企業制度と経営活動に関する先行研究と関連資料の渉猟及びサーベイと,ミクロ実証分析のための企業レベルデータ及びメタ分析のための文献データベースの構築作業を進めた。具体的には,研究代表者の岩﨑は,ビューロ・バン・ダイク社のオービス企業データベース(ORBIS)を用いた企業レベルデータやメタ分析のための文献データベースの構築を行った。研究分担者の馬准教授と溝端教授は,中国と東欧各々の企業制度や経営活動に関する調査・分析に取り組んだ。共同研究の結果,企業所有構造と経営者交代確率及び企業所有構造と経営成果の因果関係という分析視角からの中国・東欧比較,並びに共産党員資格,ジェンダー,教育水準が中国労働賃金に与える影響をテーマとする複数の論考を,国内及び海外の査読雑誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの世界的な流行故に,海外研究協力者との現地打合せや,中国・東欧企業の比較研究の焦点に関する専門的意見を聴取することを目的とした有力研究機関・研究者へのインタビュー調査を実施することが出来なかったのは,本プロジェクト遂行上の大きな支障とはなったものの,企業レベルデータやメタ分析のための文献データベースの構築は,想定以上のスピードで進捗した上,プロジェクト初年度ながら,国際査読ジャーナルを中心に,数多くの論文の発表を実現できたことは,令和2年度の大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの世界的な流行故に,海外渡航の可能性は現在も非常に不明瞭であるが,令和3年度中にこの問題が終息すれば,中国及び東欧への出張を行い,海外研究協力者との現地打合せや,中国・東欧企業の比較研究の焦点に関する専門的意見を聴取することを目的とした有力研究機関・研究者へのインタビュー調査を実施する。また,令和2年度に引き続き,コーポレート・ガバナンス及び賃金構造という観点からの中国・東欧の企業制度や労働市場システムの比較制度研究をより一層進展させる。
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