2020 Fiscal Year Annual Research Report
Choice of Invoice Currency: Bargaining, Export Experience, Trade Credit
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20H01518
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉見 太洋 中央大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
鯉渕 賢 中央大学, 商学部, 教授 (60361672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際金融 / 決済通貨 / 決済手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題においては、以下3つの目的を設定した。 目的1:決済通貨の決定に、輸出側と輸入側の間の相対的な交渉力がどういった役割を果たしているのかを明らかにする。 目的2:企業の輸出経験蓄積が、決済通貨選択に与える影響を明らかにする。 目的3:決済通貨選択と、貿易信用などその他の契約事項の選択との相互関係を明らかにする。 以下ではこれらそれぞれの目的に対応する2020年度の研究実績について、簡潔に紹介する。まず、目的1、目的3と関連して、トルコの税関データを用いた研究成果を、科研費基盤C課題「非伝統的金融政策の日本国債市場を通じた波及効果」主催ワークショップ(2020年5月26日、オンライン開催)と経済産業研究所「国際通貨と為替レート」研究会(2020年7月30日、オンライン開催)の2つの研究会で報告した。これらの成果内容は直接的には目的3に関わるものであるが、実証分析を実施するにあたって、目的1と関連する決済通貨の決定要因についても並行して検証を進めている。次に、目的2と関連して、日系企業へのアンケート調査に基づく研究成果を、中央大学経済研究所主催研究会(2021年2月1日、オンライン開催)、Workshop on: Trade and Development Jointly Hosted by RIEB Seminar/Grant-in-Aid for Scientific Research #16H02016, #19H01484(2021年2月27日、オンライン開催)の2つの研究会で報告した。また、6月5日には本課題主催オンライン研究会を主催し、羅鵬飛氏(摂南大学)と塩路悦朗氏(一橋大学)を報告者として招き、研究成果の報告を行って頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1について、当初はトルコとタイの税関データの連結を2020年度に進めることを想定していたが、新型コロナウィルスの蔓延を受けて現地出張を行うことができず、作業を実施することができなかった。ただし、トルコのデータを用いた実証分析を進める中で、トルコのデータのみを用いた決済通貨選択に関する研究について議論を進めることができた。したがって、目的1の進捗については全体として「やや遅れている」と判断できる。また、目的2と関連して、アンケート調査結果を用いた英語論文の第一稿を既に執筆し、2021年度には国内での学会発表を予定している。また、関連する日本語論文が、2021年10月出版の中央大学経済学部紀要雑誌『経済学論纂』に掲載される予定である。したがって、目的2の進捗については全体として「おおむね順調に進展している」と判断できる。また、目的3と関連して、トルコの税関データを用いた決済条件の決定要因の分析を現在進めており、実証分析と理論分析の両方について、現段階で大まかな分析を完了した段階にある。また、目的3との関連で派生的に取り組んだ、貿易における関税スキーム選択に関する論文が、査読付き学術誌であるReview of World Economicsに掲載された。こちらは2021年5月付の出版であるが、2020年度における目的3の進捗という観点でも重要な成果と言える。したがって、目的3については「当初の計画以上に進展している」と見るべきである。さらに、本課題の派生研究として取り組んだ、コロナ禍の韓国経済に関する論文が、査読付き学術誌The Developing Economiesに掲載予定である。こちらも2021年度付の出版が予想されるが、2020年度における本課題の進捗という意味からも重要なものである。したがって、全体として本課題は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1について、新型コロナウィルス蔓延の状況を鑑みると、2021年度も事前に予想していたほどにはトルコとタイへの出張を多くは実施できないと思われる。したがって、トルコとタイの連結データの構築に固執せず、現地研究者の協力を得ながら、各国のデータを用いた分析に注力していくことがより生産的と考えられる。したがって、当面はトルコとタイのそれぞれのデータを用いて、交渉力を含む各種の要素が決済通貨選択に与える影響について検証を進めていく方針である。目的2について、既にアンケート調査結果を用いた英語論文の第一稿を既に執筆済であるため、2021年度はまずこちらの研究論文に基づく学会発表を進めるとともに、完成度を引き上げていきたい。進捗を見ながら、こちらの英語論文を2021年度内にワーキングペーパーのような形で完成させ、学術誌への投稿までこぎ着けたいと考えている。目的3については、トルコの税関データを用いた決済条件の決定要因分析の成果を、2021年度内に論文としてとりまとめたいと考えている。ワーキングペーパーや投稿論文の形にまで整理できるかは、今後トルコへの出張が可能となるか、トルコ現地のデータセンターが柔軟に利用可能となるか(新型コロナウィルス蔓延状況に応じて、利用制限などが実施されている)といった点にも依存するが、可能な限り現地研究者との連携をとりながら分析を進め、2021年度内に一定の形にすることを目標としている。また、「現在までの進捗状況」でも触れた通り、現在複数の派生的な研究について、分担者を交えて検討を行っている。今後は上記目的1~3に直接関連する研究に加え、複数の派生的な研究についても適宜取り組みを進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Tariff scheme choice2021
Author(s)
Hayakawa, Kazunobu, Nuttawut Laksanapanyakul and Taiyo Yoshimi
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Journal Title
Review of World Economics
Volume: Vol.157, Iss.2
Pages: 323-346
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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