2022 Fiscal Year Annual Research Report
限界集落のコミュニティ・オーガナイジング実装と地域住民のエンパワメント評価研究
Project/Area Number |
20H01602
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (70412921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 亮次 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任教授 (00633116)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コミュニティ・オーガナイジング / 実装 / 1on1 / グループミーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
コミュニティオーガナイジングの実装においては、1on1のミーティングを継続して行いながら、住民とのグループミーティングを繰り返し行っている。リーダーシップチームのトレーニングや戦略構築に移る時期には来ているものの、関係構築の困難さがあり、プロセスを前に進めることが難しい。一方で、1on1や住民とのグループミーティングの繰り返しは、徐々に成果をあげており、地域の中で「誰もが暮らし続けられる」持続可能な地域を目指して、ともに取り組むことができる地域住民の顔が見えつつあるところである。これらのやり取りの中で、地域のどのような問題に焦点をあてて組織化に取り組んでいくかを検討できる状況になりつつある。 3月に実施した調査によれば、2009年~2024年の15年間で、主観的な「高齢者にとっての暮らしやすさ」は有意に低下しており、地域の集まりへの参加機会も減少傾向にある。特に、近所の人とのお茶のみ会をしている人の割合の低下は顕著で、高齢者へのサポート提供も、ほとんどの項目で低下傾向にあることが分かった。また、高齢者の生活に役立っていると思うものでは、古くからある組織への期待はて活かしている一方で、比較的新しいものへの期待は高まっていることが分かる。 調査からは、町内の他者との接触回数が減少傾向が認められた(2015-2024)。加えて、全体的な生活満足度も低下傾向が認められた。そして、一人暮らしで手伝いが必要になった場合でもこの地域で暮らし続けたいという永住希望を持つ住民の割合は、低下傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コミュニティオーガナイジングの実装においては、計画では関係構築を経て、リーダーシップチームのトレーニングや戦略構築に移る時期には来ているものの、現状は引き続き1on1及びグループミーティングに繰り返し取り組まざるを得ない状況にある。 一方で、実施を計画していた調査を実施することができ、分析を進めているところである。これらのことから「やや遅れている」と進捗状況を自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニティオーガナイジングの実装においては、これまでの取り組みのプロセスからそれぞれの特徴をまとめ、限界集落における地域住民の組織化プロセスを仮説的に描き出していく。また、調査の結果を基にワークショップを行い、地域住民の考えや価値観の対立点や共通点を明らかにして、組織化に向けた戦略構築へとつなげていく。 調査に関連して、データの分析を行い、2009年から2019年、そして、2024年の変化を明らかにしていく。また、データが大きくなりつつあり、社会的孤立が生活にどのようなインパクトを与えているのか、主観的な幸福感やパワー、永住希望はどのような要因により規定されているのかを明らかにしていく。
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