2020 Fiscal Year Annual Research Report
日本植民地統治下台湾における教育の「植民地性」再考―共時的・通時的比較分析
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20H01627
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
駒込 武 京都大学, 教育学研究科, 教授 (80221977)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 奄美 / 沖縄 / 台湾 / 朝鮮 / 植民地 / 学校教育 / 琉球弧 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の当初計画において台湾の台湾図書館、沖縄の沖縄県立図書館、奄美の奄美図書館で資料調査をする予定であった。しかし、新型コロナ感染症のために台湾と沖縄の調査は断念し、2021年3月15日から17日にかけて冨山一郎氏(同志社大学教授)および鳥山淳氏(琉球大学教授)とともに奄美大島および喜界島における調査を実施した。 奄美大島では名瀬で「奄美大島における人類学的調査と植民地主義」と題する研究会を開催したほか、奄美図書館、喜界島では喜界町図書館において資料調査を実施、月刊雑誌『奄美』における学校教育関係記事を検索したほか、明治期の喜界島における学校設立にかかわる資料を調査した。 このほかに奄美大島教育会館で戦後奄美教育運動史関係の資料調査を行ったほか、奄美の郷土史家である森本眞一郎氏を招いて、森本氏の論文「島尾敏雄の帝国と周縁―ヤポネシアの琉球弧から―」(『社会文学』第21号、2005年)の合評を起点として帝国日本と奄美との関係を検討する研究会を開催した。議論を通じて、島尾敏雄の「琉球弧」論には、「琉球弧」とひとくくりにはできない琉球弧内部での中央と周縁の差異、中央と周縁の入れ子的構造を捨象すると同時に、「もうひとつの日本」としての「琉球弧」を称揚することにより、「本国」「本土」「本州」「大本営」など「本」(まんなか)とされる地域・組織の防衛と繁栄のために周縁を切り捨ててきた負の歴史を隠蔽する側面のあることが浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度においては奄美調査は実施できたものの、新型コロナ感染症のために予定していた台湾調査や沖縄調査は実施できなかったために、研究の進捗状況は予定よりも遅れてしまった。他方、奄美大島や喜界島で撮影した資料の整理や読解についてはほぼ予定通りに行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
奄美大島における資料調査を継続的に行うと同時に、沖縄や台湾での資料調査の可能性を今後検討する。 また、これまでに収集してきた資料の整理と読解を進め、奄美、沖縄、台湾における知識人の形成過程、学歴取得と職業選択とのかかわりについて研究を進める。
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Research Products
(1 results)