2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Social Development and Family Mental Health of Preterm Infants
Project/Area Number |
20H01768
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永田 雅子 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (20467260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 美保 帝京大学, 文学部, 教授 (10536212)
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (40343206)
田附 紘平 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90804336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超早産 / ASD / 社会性の発達 / 早期介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在胎28週未満の超早産児と、発症率が高いとされている自閉スペクトラム症(ASD)児との比較検討を2歳児および学齢期で行うことで、その特徴を明らかにするとともに、社会性の発達に影響をあたえる家族の要因についても焦点を当て早期からの支援のありかたについて検討を行っていくことを目的としている。愛知県内の総合周産期母子医療センター3病院に協力をいただき、これまで2歳児は、超早産児43例の協力を得ることができた。ADOS-2自閉症診断観察検査を実施したところ、超早産群のうち、ASDの懸念のある児26名、懸念のない児17名となり、60.47%の児が、社会性の発達の遅れが認められた。県内の社会性の発達の遅れのある育児支援教室に参加をしている正期産で出生した児で、2歳の時点でM-CHATが陽性であった児を対象群として、同様にADOS-2を実施し、懸念ありとされた17名を、ASD群として、比較検討を行った。その結果、新版K式発達検査および1歳半のM-CHATでは有意差がみられなかったが、ADOS-2では、超早産児群の懸念あり群が、ASD児群に比べて、言語の表出がゆっくりであり、象徴的な遊びが難しく、不安を多く示すことが明らかになった。学齢期では、上記3病院でフォローアップされている超早産児9例に加えて、ASDと診断を受け、支援機関に通っている児11例に協力をえた。保護者にはPARS-TR、日本版VinelandⅡ適応行動尺度を実施するとともに、本人にはWISC-Ⅳ知能検査およびロールシャッハテストを実施した。分析の結果、超早産児群は、幼児期は自閉症の特性が強いものの、学齢期ではASD群と異なり、その特性は緩和される一方で、Vinelandでは、社会性の適応の困難さが継続してみられていた。今後、症例数を増やすことでより詳細な検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の拡大に伴い、研究協力者がなかなか集まらない状況が続いていたが、感染状況が落ち着いたこともあり、関係機関の協力をえてデータ収集を開始することができた。各病院同数程度の協力を得られることができ、おおむね順調にデータ収集および分析が進んでいる。学齢期については超早産児については小学校6年までフォローアップをされている児が少数であることもあり、予定していた例数を集めることができなかったが、研究協力の依頼を学年の早い段階で行ったことで、少しずつ協力者の人数が確保できるようになってきている。ASD児群についてもあらたにNPO法人の協力を得ることができ、データの確保の見通しができてきている状況となってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたデータについて、2歳代での保護者のメンタルヘルスや、児の視線計測の結果についても分析を行っていくとともに、数値データだけでなくより詳細に質的な分析を行っていく。関係機関との連携も引き続き密にとっていくことで、成果を確実にえられるように取り組んでいく。
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