2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01792
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 洋一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70526962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 紀行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (00553629)
伊藤 哲史 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10456840)
今井 直毅 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90597775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 局所志村多様体 / 局所ラングランズ対応 / パーフェクトイド空間 / エタールコホモロジー / p進簡約代数群の表現論 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般斜交群GSp(4)に伴う局所志村多様体のエタールコホモロジーが局所ラングランズ対応をどのように反映するかの研究を中心的に進めた.この研究は前年度以前から継続して行ってきたものであるが,本年度の研究によって,これまで不可欠だと考えていた,局所志村多様体の整モデルの幾何を利用する議論を回避する手法を新しく発見できた.この手法は,局所志村多様体に作用するGSp(4)の内部形式が,表現論的に特有の性質を持っていることに着目するものである.この手法の発見によって,GSp(4)の内部形式に伴う局所志村多様体のエタールコホモロジーも調べることができるようになった.研究実施計画では,一般ユニタリ群GU(1,n)に伴う局所志村多様体に対しても同様の考察を行う予定であった.これについては達成することができなかったが,本年度に発見した手法は,一般ユニタリ群の場合にもある程度有効であると考えられるので,次年度以降に改めて考察を行う予定である. GSp(4)に伴う局所志村多様体のエタールコホモロジーの分析を完成させるためには,GSp(4)の内部形式の保型表現の重複度を記述するArthur予想を証明することも必要である.今年度は,この予想についても取り組んだ.Gan-TantonoおよびChan-Ganの研究に基づき,p進体上の内部形式の局所Aパケットを明示的に構成し,期待される指標関係式が成立することを確認した.Arthur予想はこの結果から標準的な議論によって導かれると考えており,その部分の研究は次年度以降に実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた一般ユニタリ群GU(1,n)に伴う局所志村多様体のエタールコホモロジーの考察を行うことはできなかったが,局所志村多様体のエタールコホモロジーを調べるための新たな手法を発見することができた.この手法は比較的汎用性が高いものであるため,一般ユニタリ群の場合を含め,今後の研究の推進にも有効であることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得た新しい手法を用いて,本年度に扱えなかった一般ユニタリ群の場合を含めた,なるべく広い範囲の局所志村多様体のエタールコホモロジーの研究を進める.また,今年度に行った情報収集において,Fargues-Scholzeによる局所ラングランズ対応の幾何学化の研究が,局所志村多様体のエタールコホモロジーを調べる上でも重要な役割を果たすことが判明した.そのため,今後はFargues-Scholzeの研究について,より詳しく調査を行い,研究課題の推進に積極的に利用することを目指す.
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