2020 Fiscal Year Annual Research Report
Representation Theory and Algebraic Analysis
Project/Area Number |
20H01795
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柏原 正樹 京都大学, 高等研究院, 特定教授 (60027381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表現論 / 量子群 / 箙ヘッケ環 / 不確定特異点ホロノミック系 / クラスター代数 / 圏化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、量子アフィン環の有限次元既約表現の組に対して、不変量を定義した。おおざっぱに言えば、それは、表現の可換性を計る尺度のようなものである。この不変量は、箙ヘッケ環の場合に、その階数構造に由来する不変量として知られていたものの類似であるが、階数構造を持たない量子アフィン環の場合に存在するのは、驚くべき発見であった。 この不変量をもちいて、量子アフィン環の加群圏の団モノイダル圏構造を研究した。研究代表者は、先に、箙ヘッケ環によるモノイダル圏化の判定条件を与えている。初回の変異が可能なら何度も変異を繰り返すことが可能であることを証明したことがそのキーポイントである。 上記の量子アフィン環に対する不変量を用いることにより、量子アフィン環の加群圏の部分モノイダル圏が、団代数のモノイダル圏化となるための類似の判定条件を与えた。その重要な帰結の一つは、このようなモノイダル圏においては、団単項式がモノイダル圏の実単純加群に対応することである。量子アフィン環の加群圏の部分モノイダル圏の団モノイダル圏化は、箙ヘッケ環と量子アフィン環のあいだの関係を与えるSchur-Weyl双対性をもちいて、特別の場合に与えられていた。この判定条件をもちいれば、将来、様々な部分モノイダル圏が団モノイダル圏化となることが示されると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ蔓延の影響で、当初招聘して共同研究する予定であったP. Schpira氏、A. D'Agnolo氏、 Myungho Kim氏、 Se-jin Oh氏, Euiyong Park氏の来日が不可能となった。又、研究代表者が訪韓しての共同研究も取りやめとなった。これらの事由により、研究計画に大幅な遅延をもたらした。 また、研究経費の殆んどを、返還することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
A. 量子アフィン環の加群圏に対して、これまで箙ヘッケ環に対して得られた様々な知見と同様な現象を探求する。 それには、先に導入した、量子アフィン環の有限次元既約表現の組に対する不変量を活用することがかなめとなるであろう。 B. 量子アフィン環上の加群圏の様々な部分圏が団代数のモノイダル圏化になることを示す。 C. 量子アフィン環に対応する、箙代数を構成する。これにより、種々の量子アフィン環の間の関係が良く理解できるようになると期待できる。このような代数は、A型の場合には既に知られているが、その構成法は他の場合に適用できそうもないので、新たなアイデアが必要となる。
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Research Products
(4 results)