2020 Fiscal Year Annual Research Report
リッチ曲率に関する空間の収束・崩壊とスペクトル収束の新展開
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20H01799
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本多 正平 東北大学, 理学研究科, 教授 (60574738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久本 智之 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (00748345)
服部 広大 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30586087)
山下 真由子 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30866249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リッチ曲率 |
Outline of Annual Research Achievements |
リッチ曲率が下に有界な測度付き距離空間をRCD空間という.まず,RCD空間からユークリッド空間への写像が正則であるという概念を導入し,その正則性を持った写像で(Nashの意味での)等長埋め込みを調べた.そのとき,空間に特異点はなくなり,期待される双リプシッツ性が得られた.この証明には調和写像のリュービル性が用いられる.またそのような等長写像が原点を中心とする球面への写像となっているための必要十分条件は考えているRCD空間が非崩壊であることがわかった.これで部分多様体論で古典的に知られていた高橋の定理の一部が滑らかでない場合に一般化されたことになった.これらの結果をまとめ,単著論文として雑誌に投稿し,アクセプトされた.また,ジョージア工科大学のXingyu Zhu氏と共同で,アインシュタインテンソルの性質を用いた,RCD空間が非崩壊になることの特徴付けを行い,それを共著論文にまとめ,雑誌に投稿し,まだ審査中である.また,トリノ大学のLuciano Mari氏,トリノ工科大学のMichele Rimoldi氏,ミラノ・ビコッカ大学のGiona Veronelli氏達と共同で,リッチ曲率がコントロールされた滑らかな多様体上でソボレフ空間の中でいつコンパクトサポートを持つ滑らかな関数族が稠密になるかという問いへのベストな答えを与えた.これはCalderon-Zygmund不等式に関する未解決問題も同時に解決した.これらの結果を共著論文としてまとめ,雑誌に投稿し,アクセプトされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実にリッチ曲率に関する結果が,応用までこめて得られているため.
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Strategy for Future Research Activity |
高橋の定理の滑らかでない場合への一般化に対して,残っている部分を証明する.それを実現するにおいて,対象を関数から写像へ,すなわち非線形な対象にこれまでやってきた手法を適用する必要があり,その基礎を作ることが第一歩である. また,非崩壊RCD空間の特徴付けで残っている問題を解決する.すなわちDePhilippis-Gigliの予想を非コンパクトな場合に解決する.コンパクトなときの解決は私が依然行ったので,それを基礎にして行う. そしてそれらを用いた応用を探る.念頭にある具体的な応用例は位相的安定性定理の精密化である.
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Research Products
(14 results)