2022 Fiscal Year Annual Research Report
リッチ曲率に関する空間の収束・崩壊とスペクトル収束の新展開
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20H01799
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本多 正平 東北大学, 理学研究科, 教授 (60574738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久本 智之 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (00748345)
服部 広大 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30586087)
山下 真由子 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30866249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リッチ曲率 |
Outline of Annual Research Achievements |
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のXianzhe Dai氏とGuofang Wei氏,それとカリフォルニア大学サンタクロース校のJiayin Pan氏と共同で,リッチ曲率が下に有界な多様体の極限として,サブリーマン幾何学で現れる対象,より正確にはグルーシン平面,の半分だけ現れることを示した.なお,全体が現れることはないことがかなり前から知られていたので,半分だけ現れるというのは驚きであった.それを使って,以前Luigi Ambrosio氏とDavid Tewodrose氏と共にワイルの漸近挙動に関して提出した予想に,フラクタル的な挙動を発見することで,反例を与えることに成功した.またそれの例について量子エルゴード性も少し調べた.特にYu Ding氏によって提出されていた予想の反例も指摘した.以上の結果を1つの論文にまとめ,雑誌に投稿し,アクセプトされた. 次に,90年代にスペクトル距離と呼ばれる距離がリーマン多様体の族に対して,Berard-Besson-Gallotによって定義されていたが,この距離に関する収束は謎めいたものとして残っていた.それをRCD空間にまで拡張できることを示し,そこでその距離に関する収束がどのようなものであるかを明らかにした.より正確には,その結論は,考えている空間のラプラシアンの固有値を重複度を込めずに数えたときに,そのスペクトラムの収束をみればよい,というものとなった.これはリーマン多様体に限っても新しい結果である.この結果を1本の論文にまとめ,雑誌に投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リッチ曲率に関する結果が,他の分野との新しい接点も見えつつ継続的にでているため.
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Strategy for Future Research Activity |
近年グリーン関数の幾何解析的な取り扱いとその応用について,様々な場面で大きな進展が見えている.本研究課題でもその方向で結果をだすことを目指す.
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