2020 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間論の複素解析的側面の深化と多角的視点からの新展開
Project/Area Number |
20H01800
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮地 秀樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40385480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 啓成 京都産業大学, 理学部, 教授 (10154189)
大鹿 健一 学習院大学, 理学部, 教授 (70183225)
山田 澄生 学習院大学, 理学部, 教授 (90396416)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タイヒミュラー空間 / 多重グリーン関数 / ベルグマン核 / リーマン面 / ローレンツ計量 / 正則運動 / クライン群 / 双曲幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
宮地は,タイヒミュラー空間の複素解析的構造について調べた。Guangming-Hu氏との共同研究により,タイヒミュラー空間の単位余接束上のMasur-Veech測度から誘導されるタイヒミュラー空間上の写像類群の作用に関して不変な測度とタイヒミュラー空間上の2乗可積分正則n形式のなすヒルベルト空間のベルグマン核が比較可能であることを示した。この観測は,トーラスのタイヒミュラー空間(双曲平面)の場合の,ベルグマン核と双曲速度の比較可能性の自然な拡張となっている。 共同研究者の研究については以下の通りである。大鹿健一は馬場伸平氏と共同で,クライン曲面群の凸芯の体積について,Teichmuller空間からbendingを対応させる写像が固有でdegree 1であることを示し,bending laminationがしかるべき必要条件の下では常に実現可能であることを証明した。 山田澄生は,曲率テンソルのみたす偏微分方程式の解としてのリーマン計量、およびローレンツ計量の考察を、調和写像と調和関数を用いて重ねた。特に実2次元多様体上のリーマン計量全体からなるタイヒミュラー空間の理論と、4次元以上のローレンツ計量の構成に関連した一般相対性理論の分野での研究を進めた。 志賀啓成は,正則運動の研究を行い,正則運動の拡張可能性についてのChirkaの主張の反例を与え、さらにある種の位相的な自明条件を満たしていても、全平面の正則運動に拡張できない例を与えた。また、種々のカントール集合の擬等角同値性を考察し、一般化されたカントール集合が擬等角同値な場合にその最大歪曲度を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
疫病下のため,研究集会や勉強会を行うことができず,特に海外の専門家の招聘や研究者同士のコミュニケーションをとることが難しくなったこと。インターネットコミュニケーションツールの発展もあるが,インターネットを通した研究者同士のコミュニケーションには限界があり,原始的ではあるが黒板や口頭でのコミュニケーションを取ることが難しいことがあげられる。。また疫病下における大学業務において,所属する大学のコース長をしたため,想像以上に大学の用務が大きくなったことも要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
疫病下のため先行きは予測できないが,研究者の招聘などをできるだけ行うこと,およびインターネットコミュニケーションツールなどを活用して,セミナーなどを開催することなどにより積極的に研究者とコミュニケーションを取る。
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