2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the geometric structure of three manifolds by using quantum invariants
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20H01803
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90157751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子不変量 / 量子群 / 結び目群 / 指標多様体 / ヘニングス不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の開始年度にあたり、次の2点についての研究を進展させることができた.半単純でない量子群に対応する不変量の研究と結び目補空間の基本群の量子化についての研究である. まず、半単純でない量子群に対応する不変量の研究に関しては、SL(2) に対応する場合について、テンパリー・リエブ代数による再構成を、外国人特別研究員として早稲田大学に滞在していた Marco De Renzi との共同研究により行った.テンパリー・リエブ代数はもともとは統計物理での必要性から研究されていたものであり、量子化に対応するパラメータが一般の場合は半単純なのであるが、このパラメータを1のべき根とすると半単純でなくなる.この代数の構造は代数的にはよく研究されていたものなのであるが、ダイアグラムを用いた解釈を与えることで、SL(2) に対応する量子群で量子化に対応するパラメータが1のべき根のものに対する射影的表現との関連を与え、また、ダイアグラムを用いて、結び目のヘニングス不変量やその一般化を構成した.この結果についての論文は、Quantum Topology での掲載が決まっている. 2つめは、結び目補空間の基本群の量子化についての研究である.これについては、オランダのフローニンゲン大学の Roland van der Veen との共同研究で行っており、基本群の道の概念をホモトピーではなくイソトピーを用いて一般化し、組みひも型のホップ代数を用いた表現を構成した.さらに、SL(2) に対応する場合について、スケイン代数と、京都大学数理解析研究所の葉廣により導入されたボトムタングルとを組み合わせて、SL(2) 指標多様体と呼ばれるものの量子化が構成できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結び目群の量子化の研究において、指標多様体の量子化の構成ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
指標多様体の量子化は構成できたが、結び目補空間の量子化の構成はまだできていない。結び目補空間は理想四面体により分割することができ、理想四面体に対してはその量子化にあたるものが知られている。理想四面体の形は1つの頂点を端点とする3つの辺における面角で決まるが、この面角は平面三角形の3つの角と対応している。さらに三角形を複素数平面上に置くことにより、複素数と三角形の形を対応させることができる。この三角形の形を決める複素数の量子化が量子タイヒミュラー理論により与えられているので、この理論と基本群の量子化された表現との関係を調べることで、結び目補空間の量子化が何であるかを明らかにする。 現在構成できている指標多様体の量子化は、量子化のパラメータが一般の場合にあたるものであるが、このパラメータを1のべき根にした場合については、量子トーラスを用いたスケイン代数の理論が構成されており、これが量子タイヒミュラー理論と直接関係することが知られている。そこで量子化のパラメータが1のべき根の場合についても、量子化された表現や量子化された指標多様体がどのようなものになるかを調べる。 さらには、理想四面体だけでなく、四面体や多面体について、その量子化とは何かを明らかにしていく。
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