2023 Fiscal Year Annual Research Report
Non-perturbative spectral analysis of quantum field theory by stochastic analysis and semi-classical approximation
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20H01808
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣島 文生 九州大学, 数理学研究院, 教授 (00330358)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 基底状態 / 汎関数積分 / くりこみ / 場の量子論 / Gibbs測度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度中に、Hausdorff School (ドイツ)、レンヌ大(フランス)、ペダボン大学(ドイツ)、シンガポール国立大学で講演した。特に、Hausdorff School では連続講演を行なった。ICIAM(早稲田大) やRIMS(京大)でも講演した。 場の量子論の測度論的な研究の実績は以下である。 (1) くりこんだネルソン模型の基底状態の減衰性を下から評価することに成功した。2022年度に一度完成を宣言したが、エラーが見つかりこれを修正した。私の研究の主要手段であるファインマンカッツ公式を巧みに使って繰り込んだ模型の解析が可能になったことを考えると大きな自信になった。この結果はOliver Matteと共著でPoint-wise spatial decay of eigenvectors inthe Nelson modeとしてまとめた。現在、投稿準備中である。 (2) 並行移動不変なネルソン模型の運動量が非零な場合の熱半群の正値改良性を示した。2022年度に一応の完成を見たが、ファインマンカッツ公式のみを使って定理を証明することを試み、さらに精度の高い論文にするべく、Benjamin Hinrichs と共著でPositivity of semigroup generated by translation invariant Nelson Hamiltonianとしてまとめ、投稿準備中である。 (3)Wigner測度による準古典近似の理論を非相対論的量子電磁力学のPauli Fierz 模型で示した。これは, Zied Ammari, Marco Falconiと共著でFrom the quantum to the classical electrodynamics of charges and fieldsとまとめ国際誌に公表が受理された。現在、運動量が固定されている場合のWigner測度を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要(1)(2)(3)に沿って述べる。2022年度の理由とほぼ同じである。 (1)くりこんだネルソン模型の基底状態の減衰性の下からの評価は積分核が特異で当初アイデアが思いつかなかった。しかし、予想に反して非常に巧妙な手段に気がつき下からの評価を得ることができた。(2) 並行移動不変なネルソン模型の運動量が非零な場合はいつものシュレディンガー表現を諦めてフォック表現に移ることによってうまく証明することができた。 (3)準古典近似の理論では基底状態の個数作用素による時間発展の一様有界性をグロンウォール不等式を使って証明するという今まで見たことのないアイデアを使って突破できた
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究実績の概要(1)(2)(3)に沿って述べる。2022年度とほぼ同じである。 (1)くりこんだネルソン模型の基底状態の減衰性の下からの評価をもっと精密にする。(2) ファインマンカッツ公式のみを使って証明する。(3)運動量が保存されている場合まで拡張して、PF模型と比較する。
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