2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of new phase-parameter space correspondence for complex dynamics in dimension two
Project/Area Number |
20H01809
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20304727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍倉 光広 京都大学, 理学研究科, 教授 (70192606)
小木曽 啓示 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40224133)
荒井 迅 中部大学, 創発学術院, 教授 (80362432)
上原 崇人 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40613261)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複素へノン写像 / ジュリア集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、複素 Henon 写像など複素2次元力学系の重要なクラスに対し、そのパラメータ空間を位相的・組み合わせ論的に記述することで、大域的な分岐現象や対応する Julia 集合の性質を理解する点にある。そのための手法として、力学系の相空間とパラメータ空間との間に今まで知られて来なかった新しい対応関係を構築することが鍵となる。 双曲的な複素へノン写像は、パラメータ空間の「骨格」を成すと思われているため、重要な研究対象である。しかしその具体例は乏しく、1変数の拡大的多項式写像の摂動で得られるもの(Hubbard-ObersteVorth, Fornaess-Sibony)の他にはある特別な3次へノン写像(Ishii, 2008)しか知られてこなかった。しかも後者の例ではそのジュリア集合は連結ではなかった。今年度はこのような双曲的な複素へノン写像の例の構成について考察した。特にその帰結として、2次の複素へノン写像で、双曲的で、そのジュリア集合は連結であり、しかもいかなる1変数の拡大的多項式写像の射影極限とも位相共役にならない例の構成に成功した。この結果は中部大学の荒井迅氏との共同研究であり、その証明には計算機による精度保証計算を本質的に用いる。 一方で、九州大学の弘中祐希氏とは、ホースシュー領域近くの実へノン写像の研究を進めた。特に Arai-Ishii (2018) で構成された複素ボックスの族を用いることで、対応する実へノン写像の位相同値類がある記号力学系の特別な記号列の個数で特徴付けることを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、2次の複素へノン写像で、双曲的で、そのジュリア集合は連結であり、しかもいかなる1変数の拡大的多項式写像の射影極限とも位相共役にならない例の構成に成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このジュリア集合の構成に基づいて、複素へノン写像族のパラメータ空間の解析を行う。そのためにまずは連結でないジュリア集合をもつ複素へノン写像を数値的に(しかも厳密に)判定するアルゴリズムの開発を行う。
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Research Products
(3 results)