2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01811
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 博樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (00467440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 正人 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20251598)
イェーリッシュ ヨハネス 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (90741869)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 力学系 / 可算マルコフシフト / 連分数展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
懸案であった繰り込み可能な単峰写像の大偏差原理について、共同研究者の辻井正人氏(九州大学)との議論により新たな着想を得て、大偏差原理の成立を証明することに成功した。この結果と繰り込み不可能な単峰写像についての以前の結果を合わせることで、特に「任意のロジスティック写像が大偏差原理を満たす」ことが明らかになった。ロジスティック写像の力学系がパラメータに依存して複雑かつ多様に変化することを考えれば、この主張は驚くべきことであり、カオス力学系における大偏差原理の普遍性を示している。 この他にも、無理数の有理数近似に関係する連分数展開の分母の増大度に関するレベル1の大偏差原理の精密化を証明し、これが中国の研究者達との共同研究へと発展した。また、可算マルコフシフトのレート関数のミニマイザーが一意であるための十分条件を導出することに成功し、これを周期軌道の漸近分布の解析へと応用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次写像や連分数展開、その記号化モデルである可算マルコフシフトの大偏差原理を用いた解析が順調に進展しており、得られた成果が着実に論文として刊行されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者のJohannes Jaerisch氏(名古屋大学)と、双曲面への有限生成フックス群作用に関する大偏差原理、マルチフラクタル解析を用いた研究を進める。まず、この群作用と力学系を結びつけるBowen-Series写像の一般化でもある区間または円周上のマルコフ写像についてマルチフラクタル解析を行い、観測関数の時間平均のレベル集合のハウスドルフ次元を不変確率測度のエントロピーとリャプノフ指数で表す公式を導出する。
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