2023 Fiscal Year Annual Research Report
Blowup phenomena in chemotaxis system
Project/Area Number |
20H01814
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
溝口 紀子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00251570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 賢次 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40322200)
高田 了 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50713236)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、走化性方程式系や関連する非線形方程式であるHamilton-Jacobi方程式の解の爆発や爆発した解の爆発時間後の弱解としての挙動を研究した。走化性方程式系では退化した場合も含めて総合的な結果にまとめてから論文の形にしたいと考えている。Hamilton-Jacobi方程式では得られた結果を多次元空間や確率論への応用も含めた形で完成させたいと考えて、それを進めているところであり、それらが完成した後に論文の形にしたいと考えている。 解の爆発を考えるとき、その対極にある時間大域的に存在する解の性質を調べることは重要である。研究分担者の中西賢二は、非線形Klein-Gordon方程式の多重ソリトン周辺の大域ダイナミクスについて調べ、有限時間内に爆発しなければ元の数以下のソリトンと分散波に漸近することを示した(多重ソリトン近傍に限定されたソリトン分解予想)。定数係数偏微分作用素またはフーリエ積作用素と解析的非線形項から成る非常に一般的な非線形偏微分方程式系に対して、フーリエ変換の台が半空間内にあるという制限下で、緩増加超関数より広い超関数空間を構成し、初期値問題の時間大域適切性を示した。研究分担者の高田了は、全空間において非斉次項付き半線形分数冪熱方程式の可解性に関して研究を行い、可解性に関して最適な特異性を許容する弱型Zygmund空間に属する非斉次項に対して同方程式の時間局所可解性を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形偏微分方程式系では、解の有限時間における爆発を研究するとき、対極にある時間大域的な解の挙動を調べることは重要である。そのためには時間変化を伴う解の挙動だけでなく時間大域解の定常解の近くでの性質を調べることは基本的な方法である。また、解の特異性は有限時間だけでなく時刻無限大でも起こりうる。走化性方程式系だけでなく、研究分担者からもそれぞれの研究からの観点で意見を出してもらいながら、解の特異性が現れるような関連する方程式も研究することによって非線形問題において特異性の発現にかかわるメカニズムを研究した。完成度の高い結果を得ることを目指した研究をすすめることができていると考えている。全体的にみて、おおむね順調に進展していると思われる.。
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Strategy for Future Research Activity |
近年では数学は理学や工学などの自然科学系だけでなくデータサイエンスや経済学などにも幅広く応用され、以前より数学の社会的なニーズも高まっている。研究組織で得られた数学的な結果が応用では実際にどのような現象に対応するかを知ることは、数学を応用する観点だけでなく応用分野からの問題提起によって新しい数学の理論や手法が求められ数学自身の発展を促す効果も大きい。 走化性方程式系に類似した性質をもつ放物型方程式との関連だけでなく視野を広げて、他の方程式や代数学、幾何学など数学の他の分野における理論や手法も取り込むことによって研究を進展させる。本研究では、意図的に異なる方程式の研究者を研究分担者として研究組織を構成しているが、研究組織内での共同研究だけでなく、結果の予測やモデルのシミュレーションが必要になれば数値解析の専門家にも協力してもらう。また、走化性方程式系やviscous Hamilton-Jacobi方程式は、生物学、宇宙物理学、金融工学などへの応用も期待される研究対象なので、応用分野の研究者との議論することも取り入れる。
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