2023 Fiscal Year Annual Research Report
極弱相互作用を持つ軽い新粒子の描く新宇宙描像とその実験的検証
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20H01894
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 史宜 東北大学, 理学研究科, 教授 (60503878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 弘治 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40754271)
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バリオン非対称性 / アクシオン |
Outline of Annual Research Achievements |
高橋は,現在の宇宙のバリオン非対称性を説明するひとつのシナリオとして知られていた,インフレーションが生じる前に非常に大きなバリオン非対称性を生成するシナリオに着目し,このようなシナリオにおいては断熱揺らぎと相関を持つバリオン等曲率揺らぎが大きくなりすぎることを発見した。これまでは原理的にはインフレーション以前に十分大きなバリオン数を用意すれば現在の宇宙に存在するバリオン非対称性を説明できると考えられていた。この結果,インフレーション以前にバリオン生成するシナリオは完全に棄却され,インフレーション後にバリオン非対称性を生成しなくてはならないことが初めて論理的に示すことができた。更にアクシオンの振動エネルギーがモノポールのWitten効果とシュウィンガー効果によって散逸することを指摘し,アクシオンダークマターに関するシナリオに示唆を与えた。石渡は宇宙観測と整合性の高い超共形ハイブリッドインフレーションモデルを拡張し、インフレーション後にレプトン数を生成する機構を考えた。保存量子数の伝搬の解析により、残存するバリオン数が現在の観測量と整合することを明らかにした。北嶋はHubble tensionに動機づけられたEarly dark energyのモデルとして極弱粒子であるアクシオンに着目し、自己共鳴現象による重力波生成を格子シミュレーションにより明らかにした。特に、宇宙背景放射の観測によりモデルの検証が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
相互作用が弱く軽い粒子の候補としてアクシオンやダークフォトンが有力である。今年度はアクシオンがつくるドメインウォールに関する研究において,初めてポテンシャルバイアスを取り入れつつ重力波生成を計算することが出来た。さらにインフレーション揺らぎに基づくドメインウォールの計算も初めて成功し,その重力波を求めることができた。また本研究課題において高橋と北嶋が提案したQCD axionバブルと原始ブラックホール生成に関するシナリオを更に発展させ,空間的な相関に関する論文を執筆した。また北嶋はダークフォトンダークマターの生成機構として,コヒーレント振動に基づく無矛盾なシナリオを構成した他,コズミックストリングからのダークフォトンダークマターおよび重力波の生成に関する論文を執筆した。このように本研究課題のテーマである極弱粒子に関する研究が極めて順調に進展し,多くの論文を執筆するなど顕著な研究成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高橋は複数のアクシオンが存在する場合に,それらの間の混合が与える宇宙論的影響を明らかにする。特に,いわゆる準位交差における断熱的変化に着目し,アクシオンダークマターの存在量および空間的な不安定性について調べる。石渡は磁性トポロジカル絶縁体において考えうる磁性素励起を分類し、その質量や相互作用を明らかにする。その素励起のうち、素粒子アクシオンのように電磁場と相互作用する励起を見出し、その素励起を活用したアクシオン探索のための基礎を固める。北嶋は共鳴現象による重力波生成を引き起こす系として、アクシオンとダークフォトンの相互作用系に着目し、詳細な数値解析により、生成される重力波スペクトルや原始ブラックホール形成の可能性を明らかにする。
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Research Products
(31 results)