2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular cloud formation studied by atomic carbon survey
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20H01945
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
立原 研悟 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70432565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南谷 哲宏 国立天文台, アルマプロジェクト, 准教授 (20451437)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 星間物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
チリ・アタカマ砂漠に設置された国立天文台ASTE望遠鏡による中性炭素原子ガス(CI)観測のための装置の開発を行なった。具体的には、国立天文台の共同研究者と協力し、中間周波数系の信号を周波数帯域で分割するスィッチとフィルターを開発、分光計に導いて複数の周波数帯のスペクトルを同時に受信できるようにした。性能評価を行いチリに搬出、天文台の研究者によって望遠鏡に搭載された。同時に搭載された広帯域分光計とともに使用することで、CI 1-0輝線とCO 4-3輝線が同時に観測可能となり、観測効率の向上が期待できる。 一方でNANTEN2望遠鏡では、CO輝線のデータ解析用ソフトウェアの開発を行なった。NASCOマルチビーム受信機特有のビームの回転補正を行い、天球面上で再合成することで、シャープな画像を得ることができるようになった。また望遠鏡駆動のためのソフトウェアも改善し、効率と自由度を向上させた。これにより、観測時間の短縮が期待される。またビームスクイントやビーム能率の測定手法を確立した。 さらにALMA望遠鏡で取得されたCIおよびCOのデータを解析し、星間ガスの微細な構造を検出、原子・分子それぞれの相にあるガスの物理量の推定などを行なった。その結果、数1000 AUスケールの原子ガス相の中に、数100 AUスケールの小分子雲が埋もれ、それらがランダムに運動していることが確認された。それらのが圧力平衡状態にあると考えると、密度と温度はファクター3程度異なっていることが推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響は深刻で、2020年3月から海外渡航ができなくなり、チリ・アタカマ砂漠にあるNANTEN2望遠鏡は休止状態となっている。大学における装置開発は進めたが、国立天文台の共同研究者と議論し、NANTEN2ではCO輝線の観測データの取得に注力し、CI輝線データは、高い周波数の受信機搭載で先行しているASTE望遠鏡を積極的に利用することが、本研究課題の達成には近道であると判断した。そのため上記のように、装置開発をASTE望遠鏡のシステムに適応させた。一方でNANTEN2望遠鏡はCOの1-0, 2-1輝線の観測に特化し、効率的な観測が実現できるようなソフトウェアを開発した。 状況が改善し、海外渡航に支障がなくなれば、すぐにでも観測を開始できる状況で、2022年度後半を目処に準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
チリにおける活動について、国立天文台の現地職員とも情報を交換し、状況を確認しており、改善の兆しは見えている。再開に向けて準備は進めている。観測開始が遅れてしまうことに対応するため、予算は2023年度に集中的に投入し、観測時間を確保することを計画している。また観測輝線によって、ASTEとNANTEN2の2つの望遠鏡に役割を割り振ったことで、データ取得の効率もあげられると考えている。 ASTEについては、上記の開発が終了し、また広帯域の分光計の搭載も進んだため、CI 1-0輝線に加え、CO 4-3輝線の同時観測も可能となった。また同時観測はできないが、受信機を切り替えることにより、CI 2-1輝線の観測も可能である。これにNANTEN2で取得予定のCO 1-0, 2-1輝線を加えることで、原子・分子ガスそれぞれの密度・温度などの物理状態をより詳細に求めることが可能となる。分解能は大きく異なるが、データの平均化を行うことで対応する。観測対象となる分子雲は近傍に存在するため、比較的低い分解能でも問題はなく、分子雲ごとの進化段階の違いを調査することができる。 またALMA望遠鏡には、おうし座領域におけるCI輝線観測のプロポーザルを提出した。採択されれば、へびつかい座に続いて高分解能でのガスの微細構造を調べることが可能となり、理論モデルや大きなスケールでの観測結果と合わせ、星間物質進化のモデル構築が大きく前進すると期待される。
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Research Products
(49 results)
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[Presentation] NRO Local Spur CO サーベイプロジェクト: こぎつね座OBアソシエーションにおける巨大分子雲と星形成2021
Author(s)
河野樹人, 西村淳, 藤田真司, 大西利和, 上田翔汰, 徳田一起, 立原研悟, 福井康雄, 堤大陸, 西合一矢, 宮本祐介, 南谷哲宏, 佐野栄俊, 鳥居和史, 半田利弘
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMA によるガンマ線超新星残骸 RX J1713.7-3946 の観測2021
Author(s)
佐野栄俊, 井上剛志, 犬塚修一郎, 山根悠望子, 吉池智史, 早川貴敬, 立原研悟, 福井康雄, 徳田一起, 田中孝明, 内田裕之, 山崎了, 内山泰伸, F. Aharonian, G. Rowell, M. D. Filipovi´c, N. Maxted
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMA ACA による小マゼラン雲超広域 CO 探査 (1): CO 分子雲の大局的分布2021
Author(s)
徳田一起, Zahorecz Sarolta, 大野峻宏, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄, 佐野栄俊, 河村晶子, 近藤滉, 小西亜侑, 村岡和幸, 大西利和, 福島肇, 竹腰達哉
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMA ACA による小マゼラン雲超広域CO探査 (2): CO分子雲の性質2021
Author(s)
大野峻宏, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄, 徳田一起, Zahorecz Sarolta, 近藤滉, 小西亜侑, 村岡和幸, 大西利和, 佐野栄俊, 河村晶子, 福島肇, 竹腰達哉
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMAを用いた大マゼラン雲N159S領域の観測:フィラメント状分子雲の分布2021
Author(s)
南大晴, 近藤滉, 小西亜侑, 小西諒太朗, 大西利和, 徳田一起, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄, 南谷哲宏, 河村晶子
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMA ACA サーベイで探る Taurus 領域分子雲コア進化の統計的研究 (5):若い連星 GV Tau が付随する分子雲コアの内部構造2021
Author(s)
原田直人, 佐伯優, 柳玉華, 山崎駿, 町田正博, 徳田一起, 立原研悟, 松下祐子, 松本倫明, 山崎康正, 大西利和
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] ALMA ACA サーベイで探る Corona Australis 領域の星形成 (2)2021
Author(s)
山崎康正, 大西利和, 徳田一起, 立原研悟, 西岡丈翔, 金 井昂大, 大朝由美子, 松下祐子, 西合一矢, 深川美里, 原田直人, 佐伯優, 柳玉華, 山崎駿, 町田正博
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] NASCO 計画の開発進捗:受信機の改修による 5ビーム同時観測の実現2021
Author(s)
松英裕大, 大浜晶生, 藤城翔, 阪本茉莉子, 松永健汰, 逆井啓佑, 奥田想, 塩谷一樹, 山田麟, 堤大陸, 小林和宏, 山本宏昭, 立原研悟, 水野 亮, 福井康雄, 松本健, 山崎康正, 南大晴, 西村淳, 小川英夫, 榎谷玲依, 藤田真司, 林克洋, 佐野栄俊, 藤井泰範, 他 NANTEN2メンバー
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] NASCO 計画の開発進捗:試験観測による性能評価2021
Author(s)
西岡丈翔, 山田麟, 松英裕大, 阪本茉莉子, 松永健汰, 西川薫, 谷口暁星, 山本宏昭, 立原研悟, 福井康 雄, 西村淳, 藤田真司, 榎谷玲依, 小林和宏, 水野亮, 佐野栄俊, 藤井泰範, 他 NANTEN2メンバー
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] NASCO 計画の開発の進捗:データリダクションソフトの開発2021
Author(s)
山田麟, 塩谷一樹, 谷口暁星, 西川薫, 西岡丈翔, 松英裕大, 山本宏昭, 立原研悟, 西村淳, 藤田真司, 他 NANTEN2 チーム
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] NGC 2023/2024領域における大質量星形成2020
Author(s)
榎谷玲依, 大濱晶生, 山田麟, 山本宏昭, 立原研悟, 福井康雄, 佐野栄俊, 林克洋, 木村公洋, 長谷川豊, 西村淳, 小西諒太朗, 小川英夫
Organizer
日本天文学会秋季年会
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[Presentation] ALMA による TeV ガンマ線超新星残骸 N132D の観測2020
Author(s)
佐野栄俊, 山根悠望子, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄, 徳田一起, 馬場彩, P. P. Plucinsky, M. D. Filipovi´c, G. Rowell, F. Voisin, 他 N132D プロジェクトチーム
Organizer
日本天文学会秋季年会
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[Presentation] ALMA ACA サーベイで探る Taurus 領域分子雲コア進化の統計的研究 (4):N2D+ 輝線と1.3 mm連続波の比較から考察する分子雲コア進化段階2020
Author(s)
徳田一起, Zahorecz Sarolta, 立原研悟, 福井康雄, 犬塚修一郎, 松下祐子, 西合一矢, 河村晶子 , 松本倫明, 町田正博, 佐伯優, 原田直人, 柳玉華, 山崎駿, 富田賢吾, 山崎康正, 大西利和
Organizer
日本天文学会秋季年会
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