2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular cloud formation studied by atomic carbon survey
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20H01945
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
立原 研悟 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70432565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南谷 哲宏 国立天文台, チリ観測所, 准教授 (20451437)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 星間物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
NANTEN2望遠鏡に搭載された新受信機を用いたCOのサーベイをより高効率化するため、望遠鏡制御のソフトウェアを見直し、新たにロボットOS version 2 (ROS2)をベースにしたシステムを開発した。これまで出力されるデータの増大に伴い、特にローカルなネットワーク中に流れる通信量がシステムに遅延を生じさせ、データの欠損などの問題に繋がることが指摘されていた。また高い感度を持つ受信機性能を利用し、効率的観測を行うため、より高速なスキャンを精度良く実現することが望まれていた。そこで分散システムとして利用実績の高い、オープンソースのROS2を基盤としたソフトウェアを構築した。またシステムの移植性、汎用性を高めるため、Dockerと呼ばれる仮想環境も採用、新システム導入にかかる手間やコストを大きく削減した。このシステムは、野辺山宇宙電波観測所にある大阪公立大1.85m望遠鏡に搭載され、駆動試験と試験観測を行なった。初期のデバッグ作業はほぼ終わり、NANTEN2への搭載の目処がたった。 一方で受信機の低雑音化についても新たな開発をおこなった。超伝導ミクサに用いる局部発振器からの雑音成分を除去するための導波管フィルターを開発、さらに汎用的な観測にも使えるよう、周波数可変型に改良することで、その有用性を示した。この開発により、低価格の信号発生器を使っても受信機の雑音を劇的に下げることに成功、特許を申請した。 またASTE望遠鏡には、副鏡駆動に問題が発生していた。これによりASTEを用いた観測も延期されていたが、2022年度中の国立天文台チリ観測所の努力により、この問題はほぼ解決されている。2023年度にはBand 8, 10受信機を用いたCI観測を進めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度NANTEN2望遠鏡が設置されているアタカマエリアでは、観測所内で暴行を伴う強盗などの犯罪が発生し、安全面での懸念が問題となった。コロナ禍での治安の悪化も指摘されており、エリアを管理する合同ALMA観測所が地元警察や政府と協力し、対応を協議した。これを受けて我々は、対策が施されるまでアタカマでの活動をしばらく見合わせる決断を下した。今後の方針として、ALMA観測所から2023年度の具体的な安全対策の強化策が示された。我々の観測の実行は2023年度に延期し、その間に上記のソフトウェア・ハードウェアの改良をおこなった。これらにより、2023年度内では効率的な観測データの取得が可能になると期待できる。 またASTE望遠鏡には、副鏡駆動に問題が発生して、全ての観測も延期されていた。2022年度中の国立天文台チリ観測所のメンバーによる努力により、この問題はほぼ解決されている。2023年度にはBand 8, 10受信機を用いたCI観測を進めることができる。以前に取得されたBand 10のデータは質の良いデータであることがわかり、キャリブレーションの方法についても確立されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、まずこれまでに開発した望遠鏡制御ソフトウェアを搭載、試験観測を実施する。その際、マルチビーム受信機への対応や望遠鏡ドームの駆動など、新たな変更点はあるが、事前にシミュレーターを用いた試験を十分に行い、実機への搭載をスムーズに実行したい。さらに試験観測を経て、科学観測を始める。これにより、一酸化炭素COの3つの同位体と、それぞれのJ=1-0, 2-1輝線を同時観測、分子ガスのさまざまな物理状態を多輝線データの解析から明らかにする。 またASTE望遠鏡によるサブミリ波帯CI 1-0, 2-1輝線観測も行い、中性炭素から分子ガスへの相転移が起きる物理条件を明らかにする。 すでにこれらのデータが得られているオリオン座分子雲や、ALMAの観測データが得られているへびつかい座分子雲については、星間ガスの状態が粒状の光解離領域モデルで説明できるかを検証、論文化を進める。さらに提出したALMA望遠鏡の観測提案が受理されれば、さまざまな環境下での分子雲形成の条件の違いを探究する。
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[Presentation] 近傍渦巻き銀河M74における巨大分子雲のType分類と進化2023
Author(s)
出町史夏, 立原研悟, 徳田一起, 藤田真司, 村岡和幸, 大西利和, 山田麟, 小西亜侑, 柘植紀節, 河村晶子, 小林将人, 福井康雄
Organizer
日本天文学会2023年春季年会
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[Presentation] 星団形成領域Corona Australis分子雲内部のフィラメント状構造2023
Author(s)
深谷直史, 立原研悟, 西岡丈翔, 徳田一起, 山崎康正, 原田直人, 山崎駿, 町田正博, 深川美里, Doris Arzoumanian, 安部大晟, 井上剛志, 犬塚修一郎, 福井康雄
Organizer
日本天文学会2023年春季年会
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[Presentation] GL 490 における分子雲衝突に誘発された星形成2023
Author(s)
山田麟,立原研悟,出町史夏, 深谷直史, 玉城磨生, 石川竜巳, 倉見和希, 高山楓菜, 松月大和, 福井康雄, 佐野栄俊, 藤田真司, 河野樹人, 西村淳, Doris Arzoumanian, 榎谷玲依, 徳田一起, 島尻芳人
Organizer
日本天文学会2023年春季年会
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[Presentation] 巨大分子雲複合体 RCW 106 における銀河面に垂直に伸びたフィラメント状分子雲の発見2023
Author(s)
河野樹人, 山田麟, 出町史夏, 立原研悟, 山本宏昭, 早川貴敬, 福井康雄, 佐野栄俊, 徳田一起, 西村淳, 藤田真司, 榎谷玲依, 柘植紀節, 小林将人
Organizer
日本天文学会2023年春季年会
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[Presentation] 近傍渦巻銀河における巨大分子雲の進化2022
Author(s)
出町史夏, 立原研悟, 徳田一起, 藤田真司, 村岡和幸, 大西利和, 山田麟, 小西亜侑, 柘植紀節, 河村晶子, 小林将人, 福井康雄
Organizer
日本天文学会2022年秋季年会
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