2021 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙ー地球連結シミュレーションを軸とした放射線帯変動メカニズムの実証的研究
Project/Area Number |
20H01960
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海老原 祐輔 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (80342616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 高史 九州大学, 国際宇宙天気科学・教育センター, 博士研究員 (70346766)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁気圏 / 太陽風ー地球相互作用 / 放射線帯 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽から恒常的に吹き出す太陽風は、プラズマと磁場を太陽から持ち出している。太陽風由来のエネルギーは地球磁気圏に取り込まれ、複雑な変換・輸送過程を経て内部磁気圏に向かい、放射線帯変動の原因となる。太陽風由来のエネルギーが地球に向かう理由を明らかにするため、磁気圏中におけるエネルギー輸送の主な担い手として考えられるアルベン波に着目した。背景のプラズマ運動に乗った系でアルベン波の波束を追跡するという手法を考案した。磁気圏の脇腹と呼ばれる領域で、太陽風起源のプラズマが再結合したばかりの地球の磁力線を引っ張り、アルベン波を励起し、磁気圏を3次元的に貫く大規模な沿磁力線電流を作ることを明らかにした。太陽風起源のエネルギーはここで生成された沿磁力線電流に導かれ、やがて極域電離圏に流入すると考えられる。
地球磁気圏に取り込まれた太陽風由来のエネルギーの一部は極域電離圏に辿り付く。その多くは沿磁力線電流を伴ったアルベン波の形で極域電離圏に流入し、汎地球規模の電離圏対流やオーロラジェット電流を駆動すると考えられている。また、エネルギーの一部は水平方向に伝播し、内部磁気圏に帰還するとの指摘もある。多くの先行研究では、電離圏を無限に薄い層とみなし(薄層近似)、沿磁力線電流と電離圏の接合を検討してきた。本研究で開発した3次元ホール電磁流体シミュレーションを用い、理想的な状況について数値実験を行った。シンプルな状況であっても薄層近似では許されていない複雑な3次元電流構造を呈することや、電離圏内で高さ方向に局在化した沿磁力線電流が発生し、3次元電流の一翼を担うことを示した。これはカウリング効果の3次元構造に対応する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
背景のプラズマ運動に乗った系でアルベン波の波束を追跡するという新しい手法を導入し、太陽風のエネルギーが磁気圏に流入する過程を明らかにすることができた。3次元ホール電磁流体シミュレーションを開発し、磁気圏と電離圏の3次元的な接合過程を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
太陽風から電離圏に至るエネルギー輸送・変換過程を理解することができた。今後は内部磁気圏に至るエネルギー輸送・変換過程を明らかにし、太陽風から内部磁気圏(放射線帯)に至る全エネルギー輸送・変換過程の解明を目指したい。また、サブストームなど磁気圏内でおこる大規模変動に伴うエネルギー変換・輸送過程の変化にも着目したい。
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Research Products
(11 results)