2021 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of alteration of the upper mantle in the mid-ocean ridge and subduction zone
Project/Area Number |
20H02005
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高澤 栄一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80222082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道林 克禎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20270978)
M Satish‐Kumar 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313929)
野坂 俊夫 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (80252948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 上部マントル / オマーンオフィオライト / 蛇紋岩化作用 / アンチゴライト / 滑石 / マントルセクション / 熱水変質 / 海洋プレート |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋地殻とマントルに水がどれくらい深く浸透し,どれくらいの量が地下深部の岩石中に蓄えられるのか,その実態を明らかにすることを最終目的に本研究課題を実施中である。オマーンオフィオライトは,拡大海嶺で生じた海洋プレートが沈み込むプレート上に衝上して形成された海洋プレートの化石である。オマーンオフィオライトのマントルセクションは,広域にわたり様々な程度に蛇紋岩化作用を被っているため,本研究はそれを利用し,最上部マントルの蛇紋岩化の履歴と規模を明らかにすることを目指した。 二年目に当たる2021年度は,Covid-19感染症の全世界的規模の広がりのため,昨年度と同様に,オマーンオフィオライトの現地調査を実施することはできなかった。そこで,新潟大学に所蔵されている既存の岩石試料を用いて,オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩に含まれる変質鉱物を記載・同定し,その存在形態の実態を検討した。研究手法として,偏光顕微鏡観察,SEM-EDSを用いた反射像観察と組成分析,レーザーラマン分光分析計を用いた鉱物種の同定をおこなった結果,高温型の蛇紋石であるアンチゴライトや比較的高温で安定な滑石のフィズ岩体とサラヒ岩体マントルセクションにおける分布をある程度明らかにすることができた。アンチゴライトの産状は多くの場合,幅数mm以下の脈状であり,岩石薄片中に複数存在するときは,お互いに並行である。海洋地殻と反応した熱水がさらに深部の海洋マントル最上部に到達し,マントルかんらん岩中に生じた亀裂に沿って流体が侵入し,かんらん石と反応することでアンチゴライトの脈を形成した可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オマーンオフィオライトのサラヒ岩体マントルセクションの蛇紋岩化作用の実態を2020年度よりも範囲を広げて岩石薄片の観察を行った。それにより,最上部マントルの蛇紋岩化の履歴と規模の実態をより詳しく明らかにすることができた。オマーンオフィオライトの北部に位置するフィズ岩体とサラヒ岩体のマントルセクションから広域的に採取された既存の岩石試料を用いて研究を開始した。昨年度に引き続き,オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩の薄片の偏光顕微鏡下観察とEPMAおよびSEM-EDSを用いた定量分析,反射電子像観察および元素濃度のマッピングを行った。さらにラマン分光高度計を用いた変質鉱物の同定も行った。Covid-19による影響で,現地調査を行うことはできなかったため,旅費の一部を次年度に繰越を行った。また,オマーンオフィオライトとの比較を行うために,北海道幌満かんらん岩の地質調査を行い,蛇紋岩化の程度の低いかんらん岩の観察と採取を実施した。オマーンオフィオライトの検討のために使用した既存の岩石試料は,オマーンオフィオライトのマグマプロセスを検討する目的で変質の少ない岩石が採取されており,変質作用の初期作用を検討する上で好都合である。既存の岩石の観察と記載による変質鉱物の同定と産状の記載は順調に進んでおり,今後は水の浸透が海水の熱水循環によるものか,衝上の過程で沈み込んだプレートから放出された水の上昇による可能性の検討も進めていく必要がある。また,現地調査を行ない,マクロな産状を明らかにすることも残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
オマーンオフィオライトのマントルセクションにおける変質鉱物の種類と産状をこれまでの研究である程度明らかにすることができたので,今後は,さらに試料数と空間的な広がりを拡大してより精密な分布を明らかにすることが求められる。同時に,未実施の以下の課題にも取り組む。(1) EBSDによる変質鉱物のファブリック解析を行い,蛇紋石の結晶方位の特徴を検討する。(2) Perple_XやSUPCRTなどのソフトウェアを使った熱力学的解析により,変質鉱物の形成環境と温度圧力を推定する。(3) 蛇紋岩の酸素,炭素,水素,鉛の各安定同位体組成分析を測定し,蛇紋岩を形成した水の起源を明らかにする。その際に,海洋マントルの深さ方向(地殻-マントル境界から最下部の基底スラストまで)および海嶺セグメントの中心から末端にかけて三次元的な空間の中で蛇紋岩の存在形態と形成履歴を把握する。また,新型コロナの感染状況の改善も見込まれるため,オマーンオフィオライトの現地調査を今年度は実施する計画である。
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[Journal Article] Listvenite Formation During Mass Transfer into the Leading Edge of the Mantle Wedge: Initial Results from Oman Drilling Project Hole BT1B2022
Author(s)
Kelemen P.B.,Carlos de Obeso J.,Leong J.A.,Godard M.,Okazaki K.,Kotowski A.J.,Manning C.E.,Ellison E.T.,Menzel M.D.,Urai J.L.,Hirth G.,Rioux M.,Stockli D.F.,Lafay R.,Beinlich A.M.,Coggon J.A.,Warsi N.H.,Matter J.M.,Teagle D.A.H.,Harris M., Michibayashi K.,Takazawa E., Al Sulaimani Z., Oman DP Science Team
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Solid Earth
Volume: 127
Pages: 1-38
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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