2023 Fiscal Year Annual Research Report
胆管ステント閉塞機序の解明と改良型逆流防止弁の開発
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20H02071
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
榊原 潤 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10292533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 晋平 帝京大学, 医学部, 教授 (80447789)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胆管ステント / 胆管ドレナージ / PIV / ラグラジアン的粒子挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに構築した「十二指腸・胆管ステント内流動シミュレータ」と並行して,再現性ある逆流流量を長時間にわたって与えることが可能な流動シミュレータを新規に構築した.ACサーボモータを用いたシリンジポンプを用いて,形状の異なる複数のステント模型に数時間にわたって順流と逆流を繰り返し与えることを可能とした.ステント先端の内径によって逆流流速および染料の到達距離が異なることが示された. 前年度に開始した大腸菌の付着数を測定する実験を継続した.1つの大腸菌が壁面に付着するまでにかかる距離を付着距離と定義した上で,せん断応力と付着距離の関係を求めた.その結果,せん断応力0.09Paで付着距離が最小となった. 肝臓への逆流過程を知るために,肝臓に造影剤を流し込む様子をX線撮影した.得られた画像からLambert-Beerの法則に基づいて胆管を流れる局所の流量分布を推定した.瞬間的な逆流の実測値とコンプライアンスを考慮した理論モデルを比較して,検体のコンプライアンスの算出を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリンジポンプを用いた新たなステント内流動シミュレータを構築した.これにより,長時間に渡って安定的に高い再現性を伴って逆流流量を維持することが可能となった.染料の逆流距離のステント形状依存性を確認し,次年度に実施する新規ステント形状の提案の基礎的知見が得られたことは,当初計画に沿った順調な進捗と言える.大腸菌の個体壁面への付着数の調査を継続し,結果の信頼性を高めることができた.X線撮影下で肝臓に造影剤を流し込む実験を実施したことで,胆管逆流物質の肝臓内における拡散過程が可視化された.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた知見に基づいて,最適な逆流防止弁形状と留置状態を見いだす.腸内物質のステント内への侵入や内壁への付着を防ぐ逆流防止弁や,十二指腸内に突出する長さや傾きの最適値を決定する.スリット型の逆流防止弁を作成し,速度分布や濃度分布の測 定を実施する.濃度測定においてはレーザ光シートを走査することで三次元的な濃度分布を測定を可能とする.十二指腸から胆管への逆流流量を推定するために,ブタ肝臓の胆管に周期10秒程度の圧力変動を加えて逆流流量の実測値を求める.
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