2021 Fiscal Year Annual Research Report
Formulation of stability evaluation and countermeasure methods for artificial ground consisted by quasi-clay fine particle soils weakening during natural disasters
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20H02245
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小高 猛司 名城大学, 理工学部, 教授 (00252271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 一哉 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 特命研究員 (20069826)
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細粒土 / 火山灰質土 / 河川堤防 / 盛土 / 浸透 / 地震 / 三軸試験 / 一面せん断試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細粒分が多いだけで力学特性は粘性土とは異なる「粘土もどき細粒土」で構成される細粒土人工地盤を対象として,主に豪雨時の浸透に伴う崩壊と地震時の崩壊の2つの崩壊を主眼として,その崩壊メカニズムの解明と予測法の開発を目的とした研究を進めてきている。研究2年目にあたる令和3年度の成果は以下の通りである。 豪雨時の浸透に伴う崩壊事例として,前年度から引き続き,細粒土が卓越する河川堤防の人工盛土を検討対象とし,狩野川堤防で採取した堤体土を用いて,不攪乱供試体ならびに再構成供試体を用いた三軸試験を実施した。その結果,試験で取得された力学特性は,極めてゆる詰め傾向であることが確認され,さらに研究代表者が提案する吸水軟化試験によって,狩野川の現地堤体は浸透時のすべり破壊に対する耐性が低いことが確認された。 地震による崩壊事例として,令和3年度は平成30年北海道胆振東部地震における厚真町の斜面崩壊を対象として検討を行った。厚真町にて採取した細粒分が多く含まれる火山灰質土を用いて一面せん断試験を実施することによって,地震による崩壊時の細粒土のせん断強度を適正に評価するためには,変位の大きな繰返しせん断による損傷履歴を与えることにより,残留強度を求めることが有効であることを示した。さらに,非排水せん断状態での地震時のすべり変位量を評価可能なNewmark法の提案を行った。 また,大規模流動崩壊の解析法の評価に用いる堤防浸透模型実験を前年度に引き続き実施するとともに,模型実験を対象とした飽和-不飽和浸透流解析を実施することにより,浸透すべり破壊のメカニズムの解明とともに,すべり破壊の防止対策法を提案した。さらに,SPH法によって模型堤体の浸透破壊のシミュレーションを行い,初期の微小変形から大変形,およびその後のすべり破壊と流動崩壊に至る一連の現象を連続的に模擬する手法の検討も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2ヶ年にわたり,コロナ禍において,現地調査が十分に実施できなかったことや大学における研究活動制限の影響も受けているが,その環境下においても,多種にわたる細粒土の採取,ならびにそれらを用いた室内実験は順調に進められてきている。また,室内試験の結果により,浸透時や地震時に細粒土地盤の強度が低下し,崩壊に繋がるメカニズムの解明も順調に進んでいる。さらに,地震時のすべり変位量の予測法の開発などの成果に結びつきつつある。 一方,比較対象となる浸透や地震によって強度低下が発生しない本当の粘性土についての実験データの整理についても順調に進めている。 また,堤防浸透模型実験による流動破壊の実験データの蓄積も進み,研究代表者が提案する基盤排水工による浸透時のすべり破壊を防止する対策工法の力学的な合理性の確認も完了しつつある。さらに,浸透に伴う崩壊現象のシミュレーション手法の構築も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に研究が進行しており,前年度に引き続いて各種の実験的研究を進める。5月に実施する九頭竜川堤防での現場調査時に採取する試料を用いて,細粒土堤体土の実験データの蓄積を行うとともに,今年度に新たに入手した令和3年の豪雨時に大規模崩壊した盛土で採取した細粒土を用いて,粘土もどき細粒土の浸透時の脆弱化のメカニズムを引き続き明らかにしていく。これまでの研究で,一面せん断試験によって力学特性が明らかとなってきた火山灰質土についても,堤体土で実施してきた三軸試験によってもその脆弱性を示すことを試みる。 また,地震時のすべり変位量の予測手法については,実際に観測された地震時地すべり現象を模擬できるように,より定量的な予測を可能とするべく精度を高めることを試みる。さらに,浸透すべり崩壊とそれに伴う流動破壊現象の解析手法の開発を進めるために,従来進めてきた模型堤防実験を継続するとともに,斜面崩壊の模型実験も実施する。それらは,より流動崩壊のデータを定量的に計測するために,地盤変位や地盤内浸透場の流速の可視化を試みる。
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Research Products
(19 results)