2021 Fiscal Year Annual Research Report
力学的エネルギー解析に基づく古材および生物劣化材の木材耐久性評価
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20H02296
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 真理子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70346170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00335225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木材 / 力学性能 / 経年劣化 / 耐久性評価 / XRD測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,木材の耐久性を検討するために,実験群(古材・熱処理材(人為的な古材モデル)について,以下の2種類の研究を行った。 (A)力学的耐久性評価: 以下の2種類の実験を実施し,古材化の影響を調べた。 ①木材の繊維の引き抜きが起こる曲げ試験:アカマツ新材と古材のそれぞれに対して150℃熱処理を行い,静的曲げ試験と衝撃曲げ試験を行った。古材度の指標として,力学的エネルギー吸収能と熱処理による質量減少率MLに注目した。その結果,古材の力学的エネルギー吸収能は,静的試験で新材無処理の0.64倍,衝撃試験で0.62倍であった。また,約200 年の経年使用による古材度は質量減少率MLで表すと,静的曲げでは2.27%相当,衝撃曲げでは2.88%相当となった。 ②細胞壁内の空洞を圧縮する部分横圧縮試験:築後200年程度の寺院から採取したヒノキ古材および対照群のヒノキ新材を対象として,実大部分横圧縮静的試験および疲労試験を行った。その結果,古材の比降伏強度は新材の73%まで低下した。疲労挙動では,最大ひずみが変化しない応力レベルを疲労限度と捉えて解析した。その結果,応力値では古材は新材の52%程度,現有強度基準とする応力レベルでは古材,新材ともに50%強であった。 (B)劣化機構の解明:築250年以上経過した古建築より採取したアカマツ古材と対照群のアカマツ新材を対象とした.年輪構造を含む厚さ5mmの無欠点小試験片を作成し,段階的な引張荷重負荷の下でシンクロトロン光を用いて,木材細胞壁の仮導管2次壁の各層に存在するセルロース鎖の力(004)面間隔の変形挙動を測定した.S2層は透過法により,S1およびS3層は反射法により測定した。その結果,古材のバルクとセルロース鎖の力学挙動は必ずしも一致せず,荷重下の変形挙動にズレを生じることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,木材の耐久性を検討するために,表1に示す実験群(古材・熱処理材(人為的な古材モデル)・生物劣化材・複合劣化材を設定し,以下に示す2種類の研究を行う計画である. (A)力学的耐久性評価:劣化処理剤の疲労試験および衝撃試験とエネルギー解析(木材バルクの耐久性試験)①木材の繊維の引き抜きが起こる曲げ試験(建築物のはり材に作用する負荷様式)と②細胞壁内の空洞を圧縮する部分横圧縮試験(接合部に作用する負荷様式)である.②細胞壁内の空洞を圧縮する部分横圧縮試験(接合部に作用する負荷様式):これらについて,下記の研究計画を立てた.・静的試験ならびに疲労試験を実施し,疲労試験より得られたサイクル毎の応力-ひずみ曲線より,剛性・残存ひずみ・ひずみエネルギーの経時変化を解析すること.・両試験から各種劣化によるエネルギー吸収能の低下量を求めること.・これらより,古材化によるエネルギー吸収能の低下を定量評価すること.・残存エネルギー吸収能と合わせて耐久性の評価法を導出すること.・さらに,これに及ぼす生物劣化の影響を明らかにすること.現在,古材に関する予定の実験をほぼ終了し,解析手法を確立するとともに,古材化の定量化を行っている.また,生物劣化(腐朽材)の供試材については準備を開始しており,今後の研究も順調に遂行できる. (B)劣化/経年使用による力学的変性の機構解明:細胞壁内のセルロースの力学挙動の把握(内部構造の力学応答):この課題については次の研究段階を予定した.・測定装置の改良と細胞壁2次壁各層の測定方法の確認・古材実験・熱処理実験 これまでに,古材実験を開始しており,順調に進んでいる.今後は,古材の実験を充実させ,木材の強度発現機構に及ぼす劣化の影響を解明するとともに,ひずみエネルギーの吸収能に及ぼす影響を調べる.
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Strategy for Future Research Activity |
(A)力学的耐久性評価:劣化処理剤の疲労試験および衝撃試験とエネルギー解析(木材バルクの耐久性試験)①木材の繊維の引き抜きが起こる曲げ試験(建築物のはり材に作用する負荷様式)と②細胞壁内の空洞を圧縮する部分横圧縮試験(接合部に作用する負荷様式)である. ②細胞壁内の空洞を圧縮する部分横圧縮試験(接合部に作用する負荷様式) 今後は,経年劣化材として,生物劣化(腐朽材)の実験を開始する.まずは,これまでの古材の研究成果をもとに,生物劣化材の挙動を解析する. (B)劣化/経年使用による力学的変性の機構解明:細胞壁内のセルロースの力学挙動の把握(内部構造の力学応答).1.古材の実験データを充実させ,剛性,セルロース鎖の面間隔や配向性のバラツキ,エネルギー吸収能に及ぼす古材化の影響を調べる.2.150度熱処理材の実験を開始し,熱処理による質量減少率とセルロース鎖の力学協働の関係を解明する.3.生物劣化材の試験方法を検討する.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] XRD investigation of mechanical properties of cellulose microfibrils in S1 and S3 layers of thermally modified wood under tensile loading2021
Author(s)
Kojima, E., Yamasaki, M.*, Lee, C. G., Imaeda, K., Sugimoto, T., Sasaki, Y.
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Journal Title
Wood Science and Technology
Volume: 55
Pages: 955,969
DOI
Peer Reviewed
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