2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を用いた最適化問題の自動モデリングと構造を利用したアルゴリズムの開発
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20H02385
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 和秀 東京工業大学, 工学院, 教授 (00312984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 未来 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (40737053)
小林 健 東京工業大学, 工学院, 助教 (90913517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モデリング / 機械学習 / 最適化 / オペレーションズ・リサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習によってモデリングを行った場合、一般に関数が複雑になり扱いが難しい。そのような関数の勾配を近似計算することにより複雑な目的関数を持つ凸最適化問題を解くアルゴリズムを提案し、その理論的解析や計算性能の検証を行った。モデリング誤差の問題を解決するためロバスト最適化や分布ロバスト最適化を利用する時、不確実性集合をどのように定義するか決める必要がある。この問題を解決するため、ロバスト線形計画問題における不確実性集合を定義する際に逆最適化理論を援用する手法を提案した。また、分布ロバスト最適化において、Wasserstein距離やモーメントを用いた場合にそのハイパーパラメータの設定方法を提案した。不確実性が高い状況においては、ベイズ理論を用いてモデル化することが有効である。その状況において、階層ベイズでモデル化を行い、その後確率変動を考慮した最適化を行う枠組みを提案した。非常に多くの最適化問題を含んだ枠組みとして、対称錐上で定義された一般化共正定値錐がある。この問題に対して複数の階層近似法を提案し、理論的並びに数値実験的に比較を行った。 幾つかの事例研究も行った。まず、Eコマースなどに対し、時系列データに対する解釈可能性と効率性を両立した決定木クラスタリング手法、明示的ドメイン情報と潜在的階層構造を考慮した解釈可能性とトレンド分析を両立した時間依存非負値行列因子分解法、少ないデータに対応したゼロ過剰ポアソンテンソル因子分解法を提案した。次に、日中のオプション価格変動実績データから機械学習法によりボラティリティサーフェイスを推定する手法を開発した。最後に、教師なしクラスタリングを用いたタンパク質機能予測法を提案した。 これらの研究成果は2本の査読付きジャーナル論文と6本の査読付き国際会議プロシーディングに掲載された。また、国内外で合計21件の研究発表を行い、研究成果の周知をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は査読付き論文や国際・国内会議で公表するところまで進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が最終年度であるので、これまでの研究を踏まえ残った課題を完遂させることを目指す。具体的には、予測のばらつきに対して逆最適化のアイデアを用いた不確実性集合の構築とロバスト最適化の融合の研究を推し進める。そして、その手法の一般化について研究する。また、運搬経路問題などの現実問題に適用し、その性能について検証する。さらに、昨年度の研究中に思いついた幾つかのアイデアに基づき、過去の最適解(データ)の不確実性に対応して未来の最適解(得たい解決策)を構築する手法を開発する。また、実務家とのディスカッションによって明らかになった問題として、現実問題では目的が複数あることが多く、目的関数が一つに定まらないという点が挙げられる。この問題に対し、多目的最適化という手法が知られているが、これを機械学習法と融合させる枠組みについて研究を行う。これにより、研究してきた手法を適用できる現実問題が増えることが期待できる。また、データが大量に取得できるインターネットを使ったオンラインサービス分野において、機械学習最適化を融合した問題解決を試みる事例研究を行う。その際、階層ベイズでモデリングを行いバンディットアルゴリズムと最適化技術を組み合わせることで、バランスのよい解決策を導き出す。同時に、実用的な可視化手法についても研究を行う。上記の研究を推し進め、その成果を査読付きのジャーナルもしくは査読付き国際会議に投稿を行う。
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