2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02388
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳浦 睦憲 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10263120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今堀 慎治 中央大学, 理工学部, 教授 (90396789)
橋本 英樹 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70548114)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネットを通じた売買の増加などに伴い,物流量が急速に増加するとともに,物流を支える人手不足が深刻な社会問題として注目を浴びるようになってきた.自動運転やドローンなどの新しい技術によって人や物の輸送を大きく変革する技術基盤は急速に発展してきているものの,これらの技術を活かして効率的な物流を実現するためには,そのような新技術をどう利用するかを考える必要がある.また,新技術を投入するゆとりがなく,現状の車両や人などの運用による効率化が必要な現場も多い.いずれの場合においても効率化の実現のために解決すべき問題は山積している.たとえばトラック輸送における積載率の低さや,ラストワンマイルと呼ばれる個人宅への配送における再配達の多さが指摘されている.このような,物流における問題を解決するために解くべき問題の多くは組合せ最適化問題として表現できるが,流通量や情報量の増加に伴い,扱うべきデータは大規模化の一途をたどっており,その求解は容易ではない.このような大規模な問題解決に数理最適化,とりわけメタ戦略は欠かせない技術である.しかし,この技術を用いて高性能なソルバー(最適化問題を解くソフト = 最適化アルゴリズムを実装したもの)を開発するには職人的なセンスと大きな労力が要る.そこで多くの問題を解決できる汎用ソルバーがあれば便利であるが,1つのソルバーであらゆる問題にまんべんなく高い性能を得ることは難しい.本研究では,物流に焦点を当て,その効率化において重要となる代表的な問題タイプごとに最適化ソルバーを開発することにより,幅広い問題の解決に役立つ汎用最適化ソルバー群の構築を目指す.本年度は,複数日にわたる配送計画問題や,集荷のタイミングと場所の選択を含む配送計画問題を対象としたアルゴリズム開発を進め,一定の成果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物流の効率化のための新たなサービスを実現するためには,その背後にある組合せ最適化問題を解くことが必要となる場合が多い.しかし,流通量の増加や情報技術の革新に伴い,扱うべきデータは大規模化の一途をたどっており,そのような大規模な組合せ最適化問題の求解は容易ではない.物流の効率化を目指して新たな最適化問題に直面した際,数理最適化やメタ戦略の手法を用いてその問題に特化した最適化ソルバーを開発するには大きな時間と労力がかかるため,解きたい問題ごとにソルバーを新たに作るのは非効率である.従って,どんな問題でも解けるソルバーがあり,それを使って問題を解決できれば非常に便利である.しかし,問題構造を多く利用するほどアルゴリズムの性能は上がる傾向にあるため,1つのソルバーで全ての問題を解こうとしても,高い性能は期待できない.そこで,多くの問題を定式化できる高い汎用性を備えつつアルゴリズムの性能向上に役立つ構造を持つ問題を複数選び,そのそれぞれに対してメタ戦略に基づくソルバーを開発することで,多くの問題に対応できるソルバー群を用意することを目指して研究を進めている.本年度は,多期間型の配送計画問題や,集荷のタイミングと場所の選択を含む配送計画問題など,配送計画問題の汎用性を高める問題構造に対して一定の成果を得ており,概ね順調に研究が進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
物流の効率化に関連する問題に注目し,その中の幅広い問題タイプに実践的に対応できる最適化ソルバー群を構築することを目指し,それを実現するための方法論の確立と,実際のソルバー群の開発を進めるという方針で研究を進めていく.その目的のために注目すべき問題構造として,本年度は配送計画型の問題の汎用性を高める問題構造に着目し,研究を進めた.解決すべき問題構造にはさまざまなものがあり,来年度以降は,詰込み型の問題構造や,割当型の問題構造にも注目し,荷役の効率化や人員配置の効率化などに役立つアルゴリズム開発に取り組んでいきたいと考えている.
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Research Products
(6 results)