2022 Fiscal Year Annual Research Report
二元系合金融体の表面張力に及ぼす組成および酸素吸着の影響解明
Project/Area Number |
20H02453
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 俊平 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80404937)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表面張力 / 高温融体 / 雰囲気酸素分圧 / 酸素吸着 / 無容器浮遊法 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶接,鋳造,溶射等の自由表面を有する高温融体プロセスの最適化や現象解明のために,表面張力の正確な値が強く求められている.金属融体の表面張力は,雰囲気酸素分圧依存性を有する場合が多いが,合金融体において,組成,酸素分圧,温度の影響を同時にパラメータとした測定は無い.また過年度までの研究から,溶鉄の表面張力は雰囲気からの酸素吸着により急激に低下するものの,雰囲気酸素分圧の影響が非常に小さいSiを添加した二元系合金融体では,表面張力の雰囲気酸素分圧依存性が小さくなることが分かっている.そこで2022年度は,Fe-Si合金とは逆に,分離傾向の強いFe-Cu二元系合金融体について,表面張力に対する温度,組成,酸素吸着の影響を明らかにすることを試みた.なお溶融銅の表面張力の文献値は,酸素吸着や不純物の影響に起因すると思われるばらつきが見られたため,その再測定も行った. その結果,銅融体においては,鉱石や精錬に由来する不純物のリンの含有量によって,表面張力が変化することを明らかにした.またリン活量が小さい場合には,温度,表面張力,硫黄活量の関係をzyszkowskiモデルによって記述できることを示した. またFe-Cu合金融体においては,Cu組成が大きくなるほどそれが表面偏在し,表面張力が著しく低下することが明らかとなった.またFe-Cu合金融体の表面張力は,酸素吸着によって低下するものの,高温では酸素が脱離するため,中間温度に極大値を持つ上に凸の放物線形の温度依存性(ブーメラン形の温度依存性)を示すことを確認した.また表面偏在したCuはFeよりも酸素吸着しにくいため,Cu組成の増加によって,酸素吸着の影響は小さくなった.加えて,雰囲気酸素分圧が高い場合,低温においては,Cuよりも酸素吸着しやすいFeの表面組成が僅かに増える可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた銅融体の表面張力に及ぼすP活量の影響を測定しただけでなく,予想を前倒しして,投稿論文として公表するまでに至っている.また分離傾向の強いFe-Cu合金融体の表面張力に対する温度,組成,酸素吸着の影響についても,予定通りに基本的な傾向が得られており,国際会議での発表申込も終えている.
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Strategy for Future Research Activity |
合金融体の表面張力挙動を明らかにするためには,雰囲気からの酸素吸着と試料への酸素溶解の間の平衡を十分に担保する必要がある.学内に軽元素分析装置が新たに導入されたことから,これを駆使して実験後試料の酸素溶解量についても分析し,これまでの結果を含めて,測定データの整合性を確認する.
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[Book] Metallurgy in Space2022
Author(s)
Masahito Watanabe, Shumpei Ozawa, Hiroyuki Fukuyama, Takao Tsukada, Taketoshi Hibiya
Total Pages
557
Publisher
Springer Link