2021 Fiscal Year Annual Research Report
拡張π共役分子と分子集合体造形に基づく熱電変換材料の開発
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20H02727
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
辻 勇人 神奈川大学, 理学部, 教授 (20346050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 正和 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (20615827)
小島 広孝 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70713634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱電変換 / 構造-機能相関 / 有機分子結晶 / 縮環π電子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有機熱電変換におけるπ共役系有機分子構造ならびに結晶構造と変換効率の相関の理解を目的とするものである。電荷輸送に有利な積層構造をとり、構造パラメータと機能の相関を明確化しやすいπ共役系有機分子のコア形状と置換基の組み合わせに注目し、それらから得られる分子結晶中の構造的要因を系統的に精査し、実験と計算を組み合わせ、高効率化に必要な分子および集合体の構造的要因を系統的に探索することを目指している。 21年度までの研究によって、拡張π共役系有機分子2種類の結晶状態における熱電変換特性の評価を行ってきた。1種類目の炭化水素系分子においては置換基効果とともに、重水素化効果も確認した。この重水素化体の合成の最中に新たな反応性を見出し、21年度はこの反応の再現性や反応条件の最適化を行った。触媒、温度、濃度、反応時間を種々検討した結果、収率70-80%程度で再現性良く反応を進行させられることを見出した。さらに、類似の構造をもつ基質についても同様の反応が進行することも見出した。2種類目の化合物である、酸素を含む拡張縮環フラン系においては、20年度までの研究において高いゼーベック係数を示すことを確認したため、21年度は新たな誘導体の合成に取り組み、その評価は22年度以降の検討課題とした。このほか、3種類めの新たなπ共役系炭化水素化合物の開発にも成功し、この化合物群について22年度以降に単結晶作成と結晶構造解析、移動度評価、熱電変換評価を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価と合成についておおむね順調に進展していると考えている。予期せぬ進展として、当初用いていた基質の新しい反応性を見出し、その反応の最適化までを完了した。今後は基質適応範囲の検討を行う。べつの炭化水素系分子の合成法も開発したため、これらの2種類の新たな種類の材料の開発、構造と機能評価を新たに計画に加える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた縮環π電子系化合物について、半導体としての性能および熱電変換材料としての性能評価を継続して行う。合成は辻が担当し、山岸と協力して結晶化および移動度評価を行い、熱電特性は小島が中心となって行う。一連の実験で得られるデータをデータベース化し、ここから構造-物性相関を抽出する。また、その結果をフィードバックした新たな誘導体の設計も行う。これらについては、辻・山岸・小島が協働して行う。さらに、同位体効果の再現性の確認ならびに一般性についても、辻・小島が中心となって検証する。 これらに加えて、前年度までの辻グループでの合成研究中に見つかった予期せぬ縮環π電子系の反応についても検討を深め、生成物の分子構造および結晶構造解析ならびに移動度測定を行い、熱電変換材料への応用の可能性についても検証する。
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Research Products
(3 results)