2023 Fiscal Year Annual Research Report
低次元構造とキャリア数制御に基づくナノスケール熱電現象の開拓
Project/Area Number |
20H02830
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
清水 直 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60595932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱電効果 / ナノ材料 / 低次元 / 電界効果 / 電気二重層 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い熱電変換効率を示す熱電素子の実現に向け、低次元複合材料やナノ材料における熱電効果の研究が世界中で進められている。新規材料の合成、新たな理論計算や評価手法の開発に基づいた、次世代の新規熱電材料の開拓を継続的に進める必要がある。本課題では、様々なナノ材料の熱電特性を評価する方法を開発し、材料探索に適用する。 長期の国外滞在のため、2022年5月から2023年7月の期間は本研究課題を中断していたが、2023年8月に再開した。研究設備の復旧や試料の準備等を進め、実験を開始した。当該年度は、ヒ素化インジウム(InP)の単結晶を用いた電界効果トランジスタの作製および電気特性の評価を行った。InPを始めとする化合物半導体は、2-3 eV程度の適度なバンドギャップや比較的高い電子移動度を有するため、イオン液体をゲート絶縁体とするトラジスタのチャネル材料として優れた性能を示す可能性がある。これまでInPがチャネル材料に適用されてこなかった理由として、InPの表面にダングリングボンドが存在しキャリアがトラップされてしまうこと、またInPと電極界面での接触抵抗が高いため、トランジスタとして動作させることが簡単では無いということが挙げられる。今回、AnGeとNiを真空蒸着により積層させた電極を作製し、高温アニール処理を行った。アニールの温度およびアニール時間依存性を詳細に調べたところ、アニール時間とともに電極の構造が変化し、それとともに接触抵抗が大きく抑制されることがわかった。さらに、この処理を行った後にイオン液体トランジスタを作製したところ、室温から10 Kの低温まで、低い接触抵抗を保つことがわかった。今後はこの結果を基に、トランジスタ特性、電気伝導特性、熱電特性の詳細な温度およびキャリア密度依存性の測定に進む予定である。 本成果は2024年度の国内外の学会において報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期の国外滞在のために本研究課題を中断していたが、帰国に伴い研究再開の申請を行い、2023年8月より再開した。研究設備の復旧や試料の準備等を速やかに進め、実際に実験を再開した。また、InPを中心としたトランジスタ作製や物性評価に関する研究を順調に進め、過年度の成果を中心に国内外の学会で報告した。本研究課題の進展具合は「おおむね順調に進展している。」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は中断していた本課題を再開し、実験設備の復旧、実験開始と順調に進めることができた。これまでの研究計画は予定通りに進行していると考えている。2024年度は本研究課題の最終年度であるが、計画の変更等の予定はない。
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