2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on solution strucuture and electrode passivation of organic electrolyte solution containging K salts
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20H02849
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
駒場 慎一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (20302052)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カリウムイオン電池 / 黒鉛 / 電解液 / インサーション |
Outline of Annual Research Achievements |
レアメタル不使用で高出力を示すカリウムイオン電池(KIB)用有機電解液の実現を目指し、本研究ではKIB用負極として有望な黒鉛をモデル電極材料とし、急速充放電特性の電解液依存性を調査することで、電極反応抵抗を低下させる電解液の設計指針を確立する。それと並行して,カリウム挿入型電極材料の創製と電気化学特性の評価を進め,最終的に、現行リチウムイオン電池を凌ぐ急速充放電性能をKIBにおいて5年間の取り組みで実証する。 2020年度までに,カリウムイオン含有の有機電解液として,塩濃度や多元系塩,溶媒の違いにおける黒鉛電極の電気化学特性について調査した成果をベースに,2021年度は,カリウム黒鉛層間化合物の相転移の解析,電解液添加剤の探索と機能発現機構,さらに電極用黒鉛の結晶性の影響について調査を行った。 黒鉛電極での相転移について,オペランドX線回折を用いて,K挿入・脱離時の結晶構造,とくにステージ構造,結晶子,結晶欠陥の変化を詳細に追跡した。さらに,結晶性の異なる黒鉛における相転移挙動を比較した結果,低結晶性黒鉛ではカリウムの脱挿入による結晶性低下が著しく,それと同時に蓄電容量の低下が進行することも突き止めた。 黒鉛電極での調査結果を基に,新しい電解液添加剤を探索するためにいくつかの有機化合物を電解液に微量添加して電気化学測定を行った。その中で,1,3,2-Dioxathiolane 2,2-Dioxideが金属カリウムの不動態化を促進し,安定な酸化還元応答を示すことを突き止めた。 以上の研究成果等を国際誌に発表した。2022年度は,カリウムの移動律速段階を把握するために,LiやNa, Rb電池の電極反応とも比較を行い,キャリアイオンの違いが電池の電極反応速度に与える影響や,新しいカリウムインサーション材料の研究について検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初より計画した電解液設計と溶液構造の調査,およびモデル電極(黒鉛)の調査が順調に進んでいる。電極の不動態被膜の解析も現在進めている。そのため,新しいカリウム挿入型電極材料の開発や,異なるゲスト種(Li, Na, K、Rb)との比較,とくに電解液物性と黒鉛電極の電気化学活性および不動態被膜の調査が予想以上に進んでいる。これら現在進行中の結果を本年度中に成果として論文発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画以上に進展しているので,今後の研究では,カリウムイオン電池の黒鉛負極および電解液だけでなく,重アルカリ金属の関わる未開拓電気化学反応,さらにカリウム電池の全固体化を念頭に置いた固体電解質の開発などを並行して調査する予定である。それによって本課題の成果が最大活用されて,新奇な電気化学反応の開拓,新しい二次電池の開発に繋がって,基礎研究と工学応用の両面から価値ある成果に結びつくと考えている。
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