2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of selective autophagy in non-alcoholic steatosis-related hepatocarcinogenesis rat model
Project/Area Number |
20H03146
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉田 敏則 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80726456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 達哉 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任講師 (80727652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NAFLD / 肝がん / 前がん病変 / 選択的オートファジー / 小胞体ファジー / ラット / p62 / FAM134B |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界的に増加が懸念されている非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における肝がん発生の分子メカニズムをとして選択的オートファジーに着目し、初期肝発がん過程の観察が可能なラット脂肪肝モデルを用い、肝前がん病変における選択的オートファジー指標の発現解析を行った。初年度は、小胞体を選択的に取り込む小胞体ファジー(レティキュロファジー)に着目し、高脂肪飼料と肝酵素誘導剤フェノバルビタール投与の影響を検討した。 高脂肪飼料給餌により肥満がみられ、フェノバルビタール投与により肝肥大が認められたが、併用処置の影響はなかった。一方、肝臓の病理組織学的検査では、高脂肪飼料給餌によりNAFLD activity scoreの増加がみられ、さらに肝細胞脂肪化スコアが併用処置により増加した。肝前がん病変指標のGST-P陽性巣は、高脂肪飼料給餌またはフェノバルビタール処置により増加したが、併用処置では抑制された。オートファゴゾーム指標LC3およびカーゴレセプターp62は各群の前がん病変で発現していた。小胞体ファジーレセプターであるFAM134Bは、フェノバルビタール処置により前がん病変において不均一に発現していたが、高脂肪飼料給餌では前がん病変においてFAM134B の発現が増加し、併用処置により抑制された。 以上の結果より、高脂肪飼料給餌による肝前がん病変の増加にはLC3とp62に加えFAM134Bの増加で示されるように小胞体ファジーが関与することが示唆された。併用処置により背景の肝細胞脂肪化は顕著になったことから、本モデルでは肝前がん病変の形成と脂肪化の重篤度には負の相関があることが示唆された。また、各群の肝臓よりオルガノイドを作製したところ、中心部に空洞を有するタイプから充実性あるいは篩状まで種々の形態のものが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来、処置群毎に前がん病変の解析結果を集計していたが、各指標のばらつきが前がん病変毎にみられるため、解析に当たっては、前がん病変一つ一つにおいて発現比較を行っているため、解析に時間がかかっている。各群より肝オルガノイドを作製することができたが、in vivoの結果との比較解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体ファジーレセプターFAM134Bが肝前がん病変で特異的に発現しているため、小胞体ファジーの抑制が脂肪肝関連の初期肝発がんに関与することが示唆される結果が得られた。これを確認するため、肝前がん病変の細胞増殖指標、また、一般的なオートファゴゾーム指標LC3およびカーゴレセプターp62との発現比較を行い、さらに検討を加える予定である。また、併用処置により、背景の肝細胞では脂肪化が亢進しているにも関わらず、肝前がん病変形成は抑制されているため、リポファジーに関わる解析も進める必要がある。各群の肝臓からオルガノイドを作製することができたが、今後、細胞の分化度、増殖活性、オートファジー指標の発現解析を加え、in vivoの結果と比較する予定である。また、ミトコンドリア阻害剤を用いて、脂肪肝関連初期発がん過程の肝前がん病変におけるミトファジーの関与を検討する予定である。
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