2021 Fiscal Year Annual Research Report
転写と共役したヌクレオソーム再構築の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H03201
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江原 晴彦 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80634766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯨井 智也 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (70823566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転写 / クロマチン / Cryo-EM |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを始めとする真核生物のゲノムDNAは、クロマチンと呼ばれる高次構造をとっており、安定なクロマチン構造の存在は、ガンなどの発生を抑制するために重要である。クロマチンの最小単位は、ヌクレオソームと呼ばれるタンパク質複合体であるが、円盤状のヌクレオソームの周りにDNAが巻き付いたような構造をとっている。ゲノムDNAに書き込まれた情報が読み取られる際には、RNAポリメラーゼという酵素が働くが、円盤状の構造をとったDNAをどのように酵素が乗り越えていくのか、良く分かっていない。本研究は、特に、クロマチン構造を壊すことなく、RNAポリメラーゼが働く仕組みについて、分子レベルでの解明を目指すものである。 2021年度は、主として前年度までに調製法を確立した、転写伸張因子や、ヒストンシャペロン等を活用し、それらの存在下での転写実験、及び、クライオEM単粒子解析に取り組んだ。様々なヌクレオソームDNAを鋳型として用い、転写反応とクライオEM単粒子解析を繰り返すことにより、RNAポリメラーゼの前方でヌクレオソームが壊されていく過程や、RNAポリメラーゼの後方でヌクレオソームが再び作られる過程について、複数の分子構造を決定することができた。どうして、RNAポリメラーゼが、ヌクレオソーム構造を壊すことなく転写を行うことができるのか、というのは、長年の謎であったが、本研究により、その背景にある分子メカニズムの一端を解明できたものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目にして、クライオ電顕による構造解析に成功した上、予想できなかったような興味深い構造を複数観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構造に加え、様々機能解析を組み合わせることで、ヌクレオソームを乗り越えた転写についての総合的な理解を得る。また、一部の転写因子が欠落した条件や、転写因子の変異体などを用いた実験を行うことで、各転写因子等の詳細な機能の解明を目指す。
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