2022 Fiscal Year Annual Research Report
転写と共役したヌクレオソーム再構築の分子メカニズムの解明
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20H03201
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江原 晴彦 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80634766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯨井 智也 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (70823566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転写 / クロマチン / 構造生物学 / Cryo-EM |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを始めとする真核生物のゲノムDNAは、クロマチンと呼ばれる高次構造をとる。クロマチンの最小単位は、ヌクレオソームと呼ばれる円盤状の構造である。安定なクロマチン構造の存在は、正常な遺伝子発現制御のために欠かせないものであり、その破綻は、ガンなどの多様な疾患の原因となることが知られている。その一方、ゲノムDNAに書き込まれた情報が機能する際には、転写というプロセスが必要であり、RNAポリメラーゼ(RNAP)という酵素がDNAの情報を読み取る必要がある。しかしながら、その際には、RNAPがヌクレオソームにぶつかることになるため、転写の過程においてクロマチン構造を大きく破壊することなく、DNAの情報を読み取ることができるのがなぜなのか、その分子メカニズムは、大きな謎であった。
2022年度は、前年度までに確立した、試料調製系や、クライオ電顕による構造解析系を活用することで、転写中にRNAP前方でヌクレオソームが破壊されていく状態や、RNAP後方でヌクレオソームが再び再構成されていく状態について、複数の分子構造を明らかにすることができた。また、転写の際には、RNAPのみならず、転写伸長因子やヒストンシャペロンと呼ばれる、様々なタンパク質が機能することが知られているが、それらが働く姿も捉えることができた。これらの結果は、転写中に、転写に伴ってヌクレオソームが再構築されるという現象を観察した、世界で初めての成果であり、Science誌に報告することができた。本研究は、「どうして転写が起きてもヌクレオソームが壊れないのか」、という大きな疑問に対して、一つ重要な回答を与えるものであり、大きな反響が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画より、一年以上早く、目的の構造解析に成功している。さらに、様々な状態を取った複数の構造を取得できている。
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Strategy for Future Research Activity |
転写と共役したヌクレオソーム再構築の分子メカニズムの解明、という観点からは、一つの大きなマイルストーンを達成できたものと考えている。一方で、個々の転写因子の役割等については多くの不明点が残っており、解明のための研究を行いたい。また、いまだ構造解析に成功していない中間状態の構造や、既存の構造の品質改善も進めていきたい。
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Research Products
(5 results)