2023 Fiscal Year Annual Research Report
転写と共役したヌクレオソーム再構築の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H03201
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江原 晴彦 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (80634766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯨井 智也 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (70823566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転写 / クロマチン / Cryo-EM |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを始めとする真核生物のDNAは、細胞の核内に高度に折りたたまれて格納されている(クロマチン構造)。クロマチン構造の最小単位として知られるのは、ヌクレオソームと呼ばれる円盤状の構造である。安定なクロマチン構造の存在は、正常な遺伝子発現制御のために欠かせないものであり、その破綻は、ガンなどの多様な疾患の原因となることが知られている。その一方、ゲノムDNAに書き込まれた情報が機能する際には、転写というプロセスが必要であり、RNAポリメラーゼ(RNAP)という酵素がDNAの情報を読み取る必要がある。しかしながら、その際には、RNAPがヌクレオソームにぶつかることになるため、転写の過程においてクロマチン構造を大きく破壊することなく、DNAの情報を読み取ることができるのがなぜなのか、その分子メカニズムは、大きな謎であった。
2022年度までの研究で、ヒストンシャペロンや転写伸長因子群の協調的な働きにより、転写中のヌクレオソームがRNAPの前方から後方に転移されるメカニズムの概要について、その一連の分子構造を明らかにすることができた。2023年度は、試料調製や構造解析手法の最適化を進めることにより、分子構造の精度を改善し、より細かくて正確なメカニズムの議論が可能となった。それと共に、ヌクレオソームを乗り越えた転写と共役して起こる高次機能の解明を目指し、数種類のヒストン修飾酵素等について、新たに高純度での試料調製などに取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度については、当初の計画通り、順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヌクレオソーム転写と関連した様々な生命現象を解明するため、例えばヒストン修飾に関わるものを中心に、転写伸長複合体に結合すると予想される、様々なタンパク質について、その調製系の確立等を継続的に行う。それと同時に、複合体の構造解析や、機能解析などを進め、ヌクレオソーム転写の分子メカニズムの全容解明を目指す。
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