2022 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated Multi-Omics Analysis Methodology with Image Transformation and Deep Learning for Pathophysiology and Drug Response Mechanisms
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20H03240
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 達彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10273468)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習 / マルチオミクス / 画像変換 / ゲノミクス / 治療予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オミクスデータを画像に変換し深層学習に用いる申請者の手法に基づき、マルチオミクス統合解析と画像認識を応用した手法を開発し、実データ解析により、薬剤応答予測などの精度が上がるか、背後にあるオミクスの特徴や構造の抽出が可能か、また薬剤応答予測に必要な方法論は何かを解明することを目的とする。2022年度は、これまでの研究の画像変換によるマルチオミクス解析手法とオミクスからの特徴の抽出・解釈の手法をさらに統合し発展させ、公共データによりその精度を評価した。まず、開発中のデータの画像変換と深層学習によるマルチオミクス解析手法を薬剤応答予測の課題に適用した。マルチオミクスは遺伝子発現、遺伝子変異、コピー数変化とし、申請者のDeepInsight(Scientific Reports 2019)による画像データへの変換をもとに、マルチオミクスごとに画像へ変換してから深層学習で統合するDeepInsight-3D法を開発した。学習にはGDSC/CCLEの細胞株の薬剤応答データを、評価ではTCGAとPDXを用い、従来のMOLI手法などとの比較を行ったところ、7%以上の精度の向上が認められた。次に、申請者が開発したオミクスデータからの深層学習による特徴抽出手法とそれを解釈する手法(DeepFeature)を上記のデータに適用し、薬剤ごとに応答・非応答を左右するメカニズムや予後を規定するメカニズムを解明した。これらの結果を論文としてまとめ、出版した(Scientific Reports 2023)。さらに、実データによる評価のため、独自の肉腫、腎がん、肺がんのマルチオミクスデータ、薬剤奏効(RECIST)、OS、RFS、PFSを整備した。解析の一環として、神経膠腫と眼腫瘍の予後の免疫学的に不可解な現象の原因をオミクスと組織学的検討により探究した(BMC Genomics 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、私たちのDeepInsight(Scientific Reports 2019)をベースとし、遺伝子発現、遺伝子変異、コピー数変化からなるマルチオミクスデータに対して画像変換と深層学習により開発したDeepInsight-3D法を、さらに薬剤応答予測の課題に適用することができた。特に、学習にはGDSC/CCLEの細胞株の薬剤応答データを、評価ではTCGAとPDXを用い、従来のMOLI手法などとの比較を行ったところ、7%以上の精度の向上が認められた。そして、申請者が開発したオミクスデータからの深層学習による特徴抽出手法とそれを解釈する手法(DeepFeature)を上記のデータに適用し、薬剤ごとに応答・非応答を左右するメカニズムや予後を規定するメカニズムを解明できた。これらの結果を論文としてまとめ、本年度のうちに出版できた(Scientific Reports 2023)。さらに、実データによる評価のため、独自の肉腫、腎がん、肺がんのマルチオミクスデータ、薬剤奏効(RECIST)、OS、RFS、PFSを整備できている。解析の一環として、神経膠腫と眼腫瘍の予後の免疫学的に不可解な現象の原因をオミクスと組織学的検討により探究した(BMC Genomics 2022)。これらのことから総合的に判断し、計画は順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としてまず、本年度までに開発してきたDeepInsight法、DeepFeature法、DeepInsight-3D法からなる手法群で、共通して一つの課題となっている新たなマッピング手法の開発を進める。続き、これまでの結果から得られたオミクスプロファイルをもとに、がん細胞の特徴やがん微小環境の細胞の種類を推定するための1細胞解析手法の開発を進める。実際の臨床検体から得られる各種のデータに合わせ、予後として生存時間などの連続値に対応し、また臨床情報を説明変数として入れ込む方法を考案する。そして、深層学習の内部構造の分析から得ることができる、薬剤応答予測に必要な因子群と、疾患全体や病態分類で見られる特徴から得られる因子群とが対応するかを調べるセミスーパーバイズドな方法を検証する。これらにあたり、サンプル数の限界などにより、計画通りに進まないときには、PARADIGM手法などを用い、変異・発現・コピー数変化のデータをマップしたパスウェイを深層学習に用いる方法を実装する。また、実データによる評価のための新たなデータとして、独自の肉腫、腎がん、肺腺がん、大腸がん、肝がんでの、マルチオミクスデータ、薬剤奏効(RECIST)、OS、RFS、PFSの取得を続ける。特に臨床試験と連携したマルチオミクスと薬剤奏効データを取得を視野に入れる。さらには、マルチオミクスによる薬剤応答解析から、さらに1細胞オミクスや空間オミクスにつなげることにより、がん微小環境の構造を詳細に分析することを目指す。これらに付随した臨床検体マルチオミクスや1細胞発現、空間トランスクリプトームの各種公共データの取得を続け、独自のデータと併せて解析するため、またさらなる検証をするために用いる予定である。
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Research Products
(6 results)